アトラク=ナクア

・アラクネ属 ・昆虫型

○生息地…洞窟、地下
○気性……強気、意地悪
○食糧……肉食、野生動物など。

○光の届かぬ地下深くに潜む、深淵に属する魔物の一種。
 挿絵は既婚の個体で、未婚の個体は鋭い印象を与える女性の背中に4本のクモの脚のみが生えた姿である。
 自らの領域から外に出る事は無く、ひたすら糸を紡いでは無限に蜘蛛の巣を作り続けているが、時折、何かに誘われるかの様に、獲物となる人間の男性が地下へ訪れ、彼女達の元へと辿り着く。

 彼女達の体内には毒液が流れており、彼女達自身の精神をも蝕んで鬱屈とさせ、彼女達を常に苛立たせている。
 それ故に特殊な精神性を持ち、彼女達の姿に性的興奮を抱いた男性に対し、苛立ちをぶつけるかの様に「最低のクズ」等といった魔物らしからぬ罵詈雑言の言葉を浴びせかけ、男性に咬みついて毒液を流し込もうとする。
 この毒は男性に作用する場合、苛立ちではなく、目の前の少女への邪な劣情を催させる。
 男性の精神は鬱屈し、罵声の言葉を紡ぐ彼女達の口を男性器を捻じ込んで塞いだり、地面に押さえつけて小さな身体を欲望のままに蹂躙する、といった事を平然と行う様なものへと変わっていく事となる。
 そうして彼女達と交わる内に、男性は自らの内側の熱に焼かれる様な感覚を覚え、気が付けば人の姿から禍々しい大蜘蛛の姿へと変わってしまっているという。
 大蜘蛛は頭部の下あたりに、無数の触手が蠢く「生殖嚢」を持ち、なおも罵声の言葉を紡ぐ少女の身体を、この生殖嚢の中へと沈み込ませ、触手を纏わせる。
 触手の全てには彼女達を味わうための味覚と性感が備わり、その全てから彼女達を孕ませるための精液が放たれ、彼女達の穴という穴に捻じ込まれ全身を白濁に染めあげる。
 また、罵声に苛立った大蜘蛛は、彼女達の身体に噛み付き、その牙から男性の精が高濃度で含まれた体液を彼女達の体内に直接流し込む。
 彼女達の血液と混ざったそれは、内側から彼女達を犯して抗う事の出来ない快楽を与え続ける。
 彼女達は絶えず絶頂を繰り返して痙攣し、加えて触手で一突きされるごとに更なる絶頂を重ねる事となる。
 そんな最中、彼女達の罵声は鳴りを潜め、かわりに罵りの謝罪や甘い言葉ばかりが紡がれる様になる。
 これは男性の精によって彼女達の精神を蝕む毒が中和され、彼女達本来の性格が表出したためである。
 彼女達はその肉体を夫の精で満たされている時のみ、心の安らぎを得る事ができ、体内に注がれた夫の精が薄まり、彼女達の毒が強まり始めれば、再び夫へと苛烈な言葉を放ち、再び夫に咬みついて蹂躙して欲しいと催促する事だろう。

 こうして自らの半身となる夫を手に入れた彼女達は、常に生殖嚢の中で過ごし、夫と交わりながら、ひたすら糸を紡いで二人の愛の巣を広げる作業に没頭する。
 これを邪魔されない限りは、夫以外の人間には一切の関心を示さないという。
 この巣が完成した時、世界は滅びの時を迎えるとの伝承が存在するが、一説によれば、この巣は巨大な魔法陣であり、完成した時、その真上に存在する地上の一帯は深淵の魔界へと変貌し、全ての人間が彼女達の眷属へと姿を変えるのだという。



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