ブギー
・オーガ属 ・鬼亜人型

○生息地…不明
○気性……穏やか、献身的
○食糧……肉食。野生動物など

○オーガなどと同様に、「鬼」と呼ばれる魔物の一種。
他の鬼には見られない奇妙な特徴を持ち、頭の角やふわふわとした大きな手足は、まるで綿の詰まったぬいぐるみの様にやわらかい。
 親が子供に「泣き止まない子は鬼がさらいに来る」と言い聞かせるのはどこの地域でもよく聞く話だが、そういった伝承の元となった魔物がまさに彼女達であり、泣き止まない子供、泣かずとも強い悲しみを抱いている子供の元に現れるという。

 彼女達はそういった獲物となる男性を見つけると、その柔らかく大きな手でぎゅっと相手の身体を抱きしめる。
 その優しく暖かな抱擁には対象の不安や緊張、恐怖心を和らげる力があり、どれだけ頑なな男性であっても、一度その腕に抱かれれば素直な子供の様に彼女達に甘えたくなり、思わずその柔らかな身体に身を委ねてしまう事だろう。  
 そうして無力化した獲物に対し、彼女達は慰めたり、あやしたりといった行動をとりはじめ、獲物が泣き止み悲しみが癒えるまでそれを止める事は無い。
 時として、その過程で自らの住処へと連れ去ってしまう事があり、これが伝承の元となっているのだろう。
 また、魔性の魅力によるものか、はたまた男性の性ゆえか、彼女に抱擁された者は意識的にしろ無意識のうちにしろ、自然と彼女達の身体を求めてしまう事が多い。
 その際、彼女達は躊躇することなく自らの身体を用いて男性を慰めようとする。
まるで自らの手も口も、男性器を咥え込む女性器も、貴方を癒し、慰めを与えるためにあるのだといわんばかりの献身を見せる事だろう。
 そうして獲物の悲しみが癒えると、今度は「泣き止んだ偉い子へのご褒美」だと言わんばかりに、獲物の望むがままに甘やかし、交わる日々を送り始める。
 その後も彼女達は常に獲物の傍に寄り添い続け、再び悲しみを抱く事があれば自らの身体を使って慰め、それが癒えればまた終わらないご褒美を与え続ける。
 即ち、彼女達にとっての夫とは愛欲を向ける存在であると共に、溢れんばかりの庇護欲を注ぐ対象であり、その獲物を生涯をかけて自身が慰め与え続ける一生の伴侶として選んだという事なのだ。

 なお、彼女達が認識する「子供」とは、人間の価値観における「子供」と大きく異なっている。
 実際に姿や年齢が子供であるかどうかは関係なく、見るからに大人である男性はもちろん、自分よりも外見上年齢の高い中高年の男性に対しても、胸の内に悲しみを抱える者がいれば彼女達は彼らを「子供」として扱い、接するのである。
 即ち、彼女達にとっての「子供」とは人間の男性全般を指す言葉に他ならない。
 実際のところ、彼女達は愛を与えられず悲しみを癒す事のできない者の元へと現れるため、伝承の様な母親が愛情を注ぐ子供を連れ去ってしまうといった事は無く、親からの愛情を受けられない子供、元より愛してくれる者がいない孤児、誰かにすがる事もできず胸の内に悲しみを溜め込み続ける大人の男性の元に現れる事がほとんどだろう。



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