クリーピングコイン
・ミミック属 ・擬態亜人型

○生息地…古城、古塔、宝物庫
○気性……高慢
○食糧……人間の男性の精

○擬態能力を持つミミックの一種であり、山ほどの金貨や、それが詰まった金貨袋になりすまし、獲物となる人間の男性を待ち構えている。
 基本的に彼女達が現れるのは冒険者や盗掘者が訪れる古い城や塔などだが、稀に国家の宝物庫といった場所にまで紛れ込んでいる事があるという。

 罠にかかった男性が擬態した彼女達に触れる、もしくは近づくと正体を現す。
 この際、山の様な金貨の一部が、突然女性の姿をした魔物へと変化するわけだが、それを目の当たりにした男性が驚いたり、戸惑ったりする様子は見られない。
 これは、彼女達が男性の持つ「金銭欲」をそのまま彼女達へと向けられる欲求に結びつける力を持つためである。
 即ち、ひとたび金貨の山に魅入られた男性は、それが突然魔物へと変化しようとも、彼女達の事を自らが求めて止まない金貨の山と同じものであると見做してしまう。
 それ故に眩い金貨の輝きはそのまま、この魔物の男を誘う魅力であり、例え触れてしまう前に正体を見たとしても、男性が引き返したり、足を止める理由にはならず、彼女達の元へと惹き寄せられてしまう。
 脚を開いて誘惑でもされようものなら、男性は迷いなくその身体に覆いかぶさり、欲望のままに男性器を突き入れてしまう事だろう。

 金銭欲が強ければ強い程、彼女達へ向ける欲望も強くなる事に加え、ひとたび交わった男性は、金銭への欲望がそうである様に、彼女達を所持する事に強い執着を抱き、決して失いたくないと考える様になっていく。
 即ち、金銭に関して強欲な男性であるほどに彼女達を溺愛する傾向があり、その強欲に応じて彼女達との交わりは二重の欲求を満たし、心と身体に強い充足感をもたらすものとなる。
 結果として金銭への欲求を抱いた際には、彼女達との交わりを優先する事が多くなるため、彼女達の夫は周囲の人間からは強欲さが鳴りを潜めたと認識される事が多い。
 ただし、十分に欲望を満たしている一方で、欲望の大きさ自体は魔物と交わり続ける以上、膨らむ一方というのが通説である。

 なお、正体を現した後も彼女達を飾る様に周囲を舞う金貨は、彼女達が魔力を用いて具現化させたものであり、実際に流通する貨幣としては間違いなく偽物である。
 ただし、幻影などの実体を伴わないものではなく、「魔界金」と呼ばれる、その輝きを目にした人間の欲望を煽る力を備える実体を持った金属であり、その性質故に多くの魔物達に重宝され、高値で取引されている。
 単純に生活の糧とするためや、贅沢な暮らしを求めて彼女達に近づいた者は、彼女達を手にいれ、日夜を問わず交わる生活に欲求を満たされて満足する事が多いのだが、一方で病気の治療のための高価な薬代であったりと、別の目的のために金銭を必要としていた者は、彼女達が大量の精を得る事で生み出される魔界金を売れば事足りるという場合が多い。
 偽物の財宝である彼女達だが、必ずしもハズレであるというわけではないのである。



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