「なるほど、それであの大樹海を抜けるって言うんだね。それにしても、キニスン君も無茶するなぁ。
僕なら多少時間を食っても、迂回ルートをとるよ。そのほうが厄介ごとに巻き込まれないし」
そう言いながら彼女は、出来上がったばかりの角笛に少しだけ息を吹き込み、試し吹きした。
今私の目の前にいる女性は、半人半羊のサテュロスと呼ばれる魔物である。成長しても幼い外見のまま
のバフォメットとは異なり、彼女たちは人間の成人女性と同じくらいにまで成長する。
音楽をこよなく愛し、楽器を生み出すことを得意とする彼女たちは、人間に対してとても友好的だ。
紹介が遅れた。このサテュロスの名はフッチャ。生存が確認できた「元村人」の一人だ。
そして、ここは彼女の家で、楽器の工房である。目と鼻の先は、「エルフの聖域」である。
「事は一刻を争いますからね。迂回ルートをとると、最短でも三週間はかかる計算になります。
大樹海を直進すれば、十日ほどでジャグロック領まで到着できるはずです」
「そうは言うけどさぁ、あくまでそれは魔物が通行した場合の話だよ? キニスン君は人間だから、
そう簡単に通れるとは思えないなぁ……。下手すりゃ二度と出られないかもよ」
「え、それどういう意味?」突然話に割って入ってきたのは、アラクネである私の妻シルバーシルク、
通称シルキーだ。
「キニスン君、アンタの嫁さん頭悪いね」フッチャはやれやれ、と首を振った。
「何よ! って、キニスン、何でアンタ苦笑いしてるわけ?」
彼女を怒らせるわけには行かないので、私は簡単に説明をした。
「これから私たちが向かう大樹海は、『エルフの聖域』とも呼ばれる場所です。勿論、そこには多くの
エルフが生息しています。エルフは大きく分類すると、四つの種類に分かれるのです――」
エルフの種類の分け方は簡単かつ明解である。
彼女たちの髪の毛と瞳の色によって、四つの部族に分かれている。
金髪に金の瞳のゴルダネスティエルフ。
銀髪に銀の瞳のシルヴァネスティエルフ。
黒髪に黒の瞳のブラガネスティエルフ。
茶髪に茶の瞳のブラウネスティエルフである。
一説には、蒼髪で蒼い瞳をした「ブルーネスティエルフ」が大樹海の奥地にいると言われているが、
真相は定かではない。
この四大部族は、部族間で人間に対する考え方が大きく異なっているため、一括りにして考えるのは
「人間にとって」非常に危険である。
ゴルダネスティエルフは、人間を「自然の破壊者」とし、人間を激しく嫌悪している。
シルヴァネスティアルフは、人間を「自分たちよりも劣った無能な存在」とし、見下している。
ブラガネスティエルフは、「人間は自分たちより劣った存在」であるという前提の下で、
「弱者を救うのは上に立つものの義務である」として、人間を支援しようとする。
最後のブラウネスティエルフは、「人間も自分たちも自然の一部」と考え、気軽に接する。
ブラウネスティが「野生エルフ」と呼ばれる大きな理由は、そこにある。
故に、他部族のエルフからは迫害され、隷属化されることもしばしばある。
また、これらとはまた別に「ダークエルフ」という種族がいるが、これらは今までに述べたような
エルフたちとは、性質の異なる別の魔物である。
と、ここまで聞いてシルキーが一言。
「要するに、『金銀危険で黒茶は安全』ってことでいいのかしら?」
「まぁ……要約すると、ね」フッチャの顔には、諦めの色が浮かんでいた。私もシルキーの記憶力には
期待していない。
「ま、その辺はキニスン君が十分に理解しているようだから、一応は大丈夫かな。
あんまり足引っ張るんじゃないよ、シルキーさん」フッチャはできたばかりの角笛を置くと、
そこかしこに置いてある楽器を手に取り、調べ始めた。何かを探しているらしい。
「何よ、アタシばっかり。キニスンも何か言ってよ!」ぷくっとむくれた彼女の顔。やはり、
何度見ても可愛らしい。
「『何か』。はい、言いましたよ」
「もー!」シルキーがますますむくれる。ちょっと涙目だ。
「まぁまぁ、シルキーさんはこれから頑張ればいいわけだよ。ほら、これ餞別」いつの間にか、
フッチャは両手で大事そうに、一つの竪琴を持っていた。
「シルキーさんって歌うんだよね? だから、弾き語りが出来るようにさ。ルックス的にはフルート
の方が様になると思うんだけど、こっちでも悪くないと思うんだ」フッチャはシルキーに竪琴を
押し付けるようにして手渡した。
「えっ、でもこれ……」
「いいのいいの。遅いけれど、結婚祝いだと思って受け取ってよ。キニスン君をよろしく頼むよ」
「そうじゃなくて、これってどうやって……」
「あぁ、そうか。ゴメンゴメン、僕としたことが」
フッチャはシルキーをつれて、隣の部屋へと入っていった。大方竪琴の引き方でも教えるのだろう。
翌日、私たちはフッチャに別れを告げ、エルフたちの住む大樹海に足を踏み入れた。
シルキーといえば、習いたての竪琴を引きながら、私の隣を歩いている。
「あっ、また間違えちゃった……うーん、難しいわね」
「じきにうまく弾きこなせるようになりますよ。技術の向上には、努力あるのみです」これは、私の
傀儡術の師匠の言葉である。
「……って言うより、フッチャさんから習った曲が難しすぎるのよ! 何なのよ、この
『未確認神闘シンドローム』って! テンポがすごく早いし、初心者に教える曲じゃないわ!」
どうやらフッチャが趣味にむかって暴走したらしい。
そんな具合に騒ぎながら歩いていたためか、私たちはすぐに樹海の住人と遭遇してしまった。
「おい、あんたら」
後ろから声がかかる。急いで振り返ると、そこには女性が一人。
尖った耳のことはどうでもいい。重要なのは、髪と瞳の色だ。だが、瞬時に私は警戒を緩めた。
茶色の髪、茶色の瞳。ブラウネスティエルフだ。
「あんまり騒がしくしてくれるなよ。ここんところ、この辺はピリピリしてんだ……か……?!」
突如言葉を切った彼女は、私のことを目を丸くしてじろじろと見た。
「おま……まさか、人間……!! しかも、お、男だと?!」
以前にも何度か、私は女に間違えられたことがある。
おそらく、私が髪を長くしているからなのだろう。しかし、魔物に間違われた事は、今のところない。
「おいおいおいおい、冗談じゃない。アンタ、正気か? 平常時でも樹海に入るのは相当危ない
ってのに、こんな時に何でわざわざ!」
「ちょっと何? 『こんな時』って、何が起こってるの?」シルキーが問いかける。
「何も糞もねぇよ! 少し前に、ゴルダネスティが一人殺されたんだよ! 相手は人間の軍勢さ。
連中、それで頭にきて、人間に対してひどくピリピリしてんだ! それでなくても、人間が大勢
樹海に入ってきたことにお冠で、非常事態宣言出してんだ。今じゃブラガネスティも、
人間には敵意を抱いてるって話だ。あんた、もしアタイがブラウネスティじゃなかったら、
死んでたかもしれないんだよ?」
「人間の、軍勢ですって?!」間違いない。草原の民を襲った狂戦士たちだろう。
「さぁ、話がわかったら樹海から出ていきな! 今ブラウネスティ以外に出会ったら、
連中の檻の中に入れられて、一生閉じ込められちまうよ!」
さすがにこの情報には、私は途方に暮れてしまった。今思えば、あの狂戦士の軍勢がエルフたちに
何らかの悪影響を及ぼしているであろうことを、最初から予期しているべきだった。
「しかし、」私は口を開いた。
「私たちはそれでも進まなくてはならないのです。おそらく、そのゴルダネスティを殺したという
人間の軍勢は、この先のジャグロック領の人間たちです。しかも、彼らは普通じゃない……」
しかし、彼女はめんどくさそうに私の話を切った。
「あぁ、わかったわかった。もう知らないよ! そんなに死にたいのなら、どこへなり行ってしまえ!
後でビービー騒いでも、アタイらブラウネスティは他の三部族に法的な拘束をされてんだ、だから
ぜってー助けられねぇ。自力で何とかしろよ!」
言い終わるが早いか、彼女は私たちの前から消え去った。
「行っちゃった……あのエルフ、話くらい聞いてくれてもよかったのに」
「いえ、彼女の判断は正しいのですよ。状況が状況ですから、私たちと一緒にいると都合が悪い。
最悪の場合、私たちと一緒に檻の中に入れられるでしょう」
「そう……。なんだかブラウネスティエルフってかわいそう。何で彼女たちは反撃しないの?」
「争いになるじゃないですか。いくら苦しくても、同属の血を流してまで自由を得たいわけじゃ
ないんですよ。それに、ブラウネスティは魔法が使えないか、弱い魔法しか使えないんです。
その代わりに身体的に優れているのですが、それでも魔法の力には敵わないわけです。
だからあえて敵対せず、ある程度の距離を置くようにしている。大樹海に住むのが嫌なら、外界に
出ればいいわけです」これは、昔に会ったブラウネスティエルフから聞いた台詞の使いまわしだ。
「うーん……でもなんだかかわいそう」
「気持ちはわからないでもないです」
それに比べて、人間は。
同じ人間同士なのに、殺し合いをして。有史の時代から、ずっと争ってきて。
自分たちと少し異質なだけで、どこまでも非道になれる。
理由は何でもいいのだ――そう、それこそ「魔物と交流がある」という理由でも。
「キニスン、顔が怖いよ」
シルキーの声で、私は現実に戻された。
それから数時間歩き続け、私たちは昼食をとった。火を熾すわけにはいかないので、
ドライフルーツや乾パンといったものを水で飲み下すという、ひどく味気ない食事だった。
それから再び進路を南西にとり、ひたすら歩き続ける――不意に、シルキーが叫んだ。
「あれっ、キニスン! ちょっとこっち来て!」私を無視してシルキーは脇道にそれた。
「誰か倒れてるみたいなの! 気を失ってるわ!」
慌てて私も彼女の後を追う。彼女が止まり、かがみこむ。そこにいたのは――。
「ゴルダネスティ……しかも、子供……?!」
「どうしようキニスン、この子足に矢が刺さってる……」
「とにかく、急いで治療を――」
ヒュン。
パシュッ。
矢の音が聞こえたころにはもう遅い。
私の右手に激痛が走り、衣服が血に染まる。
「そこの人間、止まれ! 無駄な抵抗は一切止めよ! それ以上その子を傷つけることは、
我らゴルダネスティ警備隊が許さぬ!」
声が響くと同時に、武装したゴルダネスティエルフが続々と四方八方から現れ、
矢を構えて私を狙った。武装兵の右の胸は皆、魔法によって膨らみを小さくされている――矢を
引く際、胸が邪魔になるためだ。
武装兵の後ろには、エルフの魔法使いが数名ほど杖を構えており、さらにその後ろ、丁度私の正面に
位置する場所に、この警備隊の隊長と思しき人物がいた。
「違う! キニスンは――!」
「静かにしていろ、アラクネ! しかし、人間を捕まえるとはお手柄だな。後で褒美を貰えるよう、
私からクレインクレイン様にご報告しておこう。さぁ人間、下手な真似はするなよ」
私はツタのような植物で両腕を縛られ、警備隊員に引っ立てられた。
そして、すぐに矢が抜き取られ、傷の治療をされる。エルフの里を血で汚させないためだ。
「アラクネ、お前もついてこい。この子が目を覚ましたら、お前の活躍を存分に語ってくれるだろう」
「えっ、でも……」そのとき、シルキーが助けを求めるような目で私を見た。
私はシルキーが変な事を言わないよう、目で黙るように合図した。
パターン的にはここでシルキーが全てをぶち壊すのだが、今回だけは私の祈りが届いた。
両腕を縛られていなければ、私はエルフの見事な造園技術に心奪われて、しばし足を止めて見惚れて
いたかもしれない。エルフたちは樹木を傷つけることなく、思いのままの形に育てることが出来る。
エルフたちが生活できるように、内部が空洞になった木々。樹木と樹木をつなぐ太く平らな枝。
程よく陽光を取り入れるため、葉の生え方も工夫されている。
ほかの生物への配慮も忘れる事もない。鳥の巣や小動物のねぐらなどが、その生物にとって最適な
場所に配置されている。
しかし、私はそれらをじっくりと観察することは出来なかった。エルフたちの、射殺すような痛烈な
視線が、この集落に入った途端に私に注がれた。
私は黙って地面を見て、ゴルダネスティの警備兵に引っ張られるがままに歩くしかなかった。
しばらく歩いた後、私は根元に大きな空洞のある大樹に連れてこられた。
「入れ、人間」私は黙ってそれに従う。私が空洞の中に入った途端、太いツル状の植物が空洞の
出入り口を網目状に塞いだ。天然の監獄の完成だ。
「クレインクレイン様の尋問が始まるまで、そこで大人しくしていろ。我々はこれからこの子の
手当てと、アラクネの事情聴取を行う。『戒めの大樹』の養分になりたくなければ、抜け出そう
などと考えないことだな」
そう言い残すと、警備兵たちはシルキーを連れて私の視界から消えた。
シルキーのひどく不安そうな表情とともに。
数時間が経過した。いつの間にか、私は眠っていたらしい。
足音が聞こえて目を覚ますと、目の前には一人のブラウネスティエルフがいた。
「あなたは……さっきの……?」
「静かにしろ。アタイがこんなとこにいるのがばれたら、奴らに奴隷にされちまう」そう言うと彼女
は、丹念に大樹とツル状の植物を調べ始めた。
「だったら、何でこんなところに来たんですか! 私の脱獄幇助なんかしても、いい事なんて一つも
ないでしょう!」
「だから、静かにしろって! アタイはアンタがあの子をやったなんて、全然思えないのよ。
第一、アンタ矢も弓も持ってないだろ? アタイはね、間違った判断ってのが大嫌いなんだよ」
そう言うと彼女は、ツル状の植物をゆっくりと撫で始めた。
「アンタは手を出すな。内側からこのツルに触ると、生命力を吸い取られるぞ」
伸ばしかけた手を、私は即座に引っ込めた。
彼女に撫でられたツル状の植物は、徐々に細く、短くなっていった。一本が大樹の空洞内部の視界から
消えると、彼女は再び、別のツルを撫で始めた。
そうやって、彼女はいくつものツルを消していった。視界はだいぶ明るくなったが、まだ私がくぐり
抜けるには十分ではない。
「もうちょっとだな、辛抱しろよ――」と、彼女が言い終わらないうちに。
「貴様、何をしている!」
警備兵が戻ってきてしまった。その隣には、両腕を縛られたシルキーがいた。
「結局アンタも監獄入りか。どうしてだ?」
「何かね、アタシのおデコに手を当てたかと思ったら、いきなり『こやつ、人間の手の内の者だ!』
とか叫ばれて。で、すぐに縛られちゃったのよ」
「あぁ……記憶を読み取られたんだ。ご愁傷様としか言いようがないね」
「で、アンタは何でここにいるの?」
「アタイか? コイツをここから出そうとしたのさ。そしたら運悪くアンタが来て、ばれちまった。
もうちょっとタイミング遅らせてくれりゃ良かったのによー……」
「そんなこと言ってもしょうがないじゃない! っていうか、アンタ助けに来ないんじゃなかったの?
『法で縛られてる』とか、『自力で頑張れ』とか言ってたくせに」
「うるせぇ、アタイは間違ったことが嫌いなんだよ」
「(苦しい……)」
私たちは今、三人一緒に、同じ大樹の空洞に入れられている。
三人が入るのはさすがにスペース的な余裕は少なく、私たちは押し込められるようにして空洞の中に
入れられた。ツルから遠ざかって座ることは出来るものの、そうすると横幅が確保できない。
結論を言うと、私たちは狭い監獄でぎゅうぎゅう詰めになっている……という訳だ。
……私がその真ん中に座り、顔の両サイドに二人の胸があるというのは、いささか不自然かつ
不謹慎ではあるが。
スペースに余裕がないから、真ん中の人物に抱きついて身を寄せ合うのは仕方がない。
だが、何故私が真ん中なのだ。
「そう言えば、まだ名前を聞いてなかったわね。アタシはシルバーシルク、シルキーって呼んでね」
私の右側から、シルキーの声。
「シルキーか。アタイはミュキ。……で、コイツは?」
私の左側から、ミュキと名乗ったブラウネスティエルフの声。
「……キニスン、キニスン=ブライトンです……」
私の喉から、絞り出すような声。熱い、苦しい、痛い。
「……大丈夫か、コイツ。なんかすごく苦しそうだぞ?」
「あー、わかった。ハーレム状態だから興奮してるのね。監獄を愛の巣にしようなんて、
キニスンも大胆ねぇ」
そんなわけないだろう。
しばらくして、ゴルダネスティ兵がやってきた。彼女の隣には、回復した姿の例のエルフ少女がいた。
「今から、この子からの事情聴取の裏づけを行う。お前たちは黙っていろ」
ゴルダネスティ兵が私たちに背を向け、今度は少女に話しかける。
「さぁ、見てご覧お嬢ちゃん。お嬢ちゃんにひどいことをしたのは、あいつらだろう?」
ゴルダネスティ兵が、私たちに指を刺す。
エルフの少女はまじまじと私たちを見――そして、こう一言。
「誰、この人たち」
ゴルダネスティ兵の驚きっぷりは、彼女の名誉のため、残念ながら私の口からは語れない。
ただ、その表情は緊張しきっていたシルキーとミュキを、一瞬で狂ったように笑わせるのには
十分な威力を持っていた、とだけ言っておこう。
勿論、私たちが開放されたのは言うまでもない。
ちなみに少女は、以前襲撃してきた人間の矢をたまたま拾ったところ、誤って足に落としてしまった
のだという。身を貫く初めての痛さに、彼女は仮死状態になり、痛みから逃避したとのことだ。
「申し訳ない! 我々の誤解で、そなたらの旅を妨害してしまう事になるとは……。あぁ、この
クレインクレイン、ゴルダネスティの長として一生の不覚!」
バラの花のティアラを被ったエルフが、大げさにも思えるほどに嘆いた。
今私たちは、ゴルダネスティエルフの長であるクレインクレインの前に謁見している。
今回の旅の目的や、謎の狂戦士たちの危険性などを説明すると、クレインクレインは「エルフの
歴史に名を残す一大事」と宣言し、私たちが樹海を安全に通過できるよう、護衛をつけてくれること
になった。
「して、ブラウネスティよ。お前に命ずるぞ。これよりお前はこの人間、キニスン=ブライトンに
隷属するのだ。これはゴルダネスティエルフの長としての命令である。よろしいか、キニスン殿?」
「お言葉ですが、クレインクレイン様」私は異論を挟んだ。
「私は彼女を奴隷として従えるつもりは、毛頭ございません。彼女はブラウネスティエルフ、自由の
意志のままに動く野生エルフです。彼女がどうしたいのか、彼女自身に聞くことにしましょう」
クレインクレインは――いや、後ろで跪いていたミュキも顔を上げ、はっとした表情で私を見た。
シルキーだけは、「らしいわね」という目で微笑むだけだった。
「……左様か。では尋ねるぞ、ブラウネスティよ。そなたは今後どうしたいと申す?」
ミュキは震えながら、しかしはっきりと答えた。
「あ、アタイ……じゃなくて、私めは……自由に生きたく思いますです。ででで、ですので、
出来れば家に帰りたいです。それで、メシクッテサッサトネタイデス」可愛そうに、ミュキは緊張のあまり
最後の言葉をものすごく早口に口走ってしまった。
「……左様か」クレインクレインは表情を変えずに、小さく溜め息をついた。
「もうよい。ブラウネスティ、そなたは下がってよろしい。さっさと家に帰って、
夕食と眠りを貪るがいい」
「は、はひ!」ミュキは電撃が走ったかのように、ピュンと真っ直ぐに立ち、そのまま回れ右をして
――振り返り様に、私にピースした―― 一目散に立ち去った。
「これでよろしいのか、キニスン=ブライトンよ」クレインクレインは、理解できないといった表情で
私を見た。
「結構でございます」
「左様か……もうよい、そなたらも下がるがいい。下の階のエルフたちに、夕食を振舞うように
申し付けてある。今宵はここでゆっくりしていくが良かろう……」
私たちが一礼をし、謁見の間から立ち去ろうとしたその時。
「クレインクレイン様! シルヴァネスティからの急使でございます!」
銀髪のエルフは、すぐに謁見の間に通された。謁見の間に立ち尽くす私を、シルヴァネスティ
エルフは「何故こんなところに人間が」と言いたげな目で見た。
「して、どのような用件であるか? シルヴァネスティの急使よ、申すがよい」
「はっ! ふつつかながら申し上げます!」
彼女の口から語られたのは、あらゆる意味で信じがたい内容だった。
「本日未明、シルヴァネスティの都に1000人規模の人間軍が強襲! エルフ死者100名超の
甚大な被害が発生! さらに現在、人間軍はブルーネスティの住まう『神聖地域』方面へ進軍中!
それを食い止めるため、シルヴァネスティとブラガネスティの連合軍が人間軍と現在交戦中!」
「なんですって?!」クレインクレインの顔から、さっと血の気が引いた。
「緊急事態発生! ゴルダネスティ軍全兵士に告ぐ! 至急『神聖地域』南西方面に向かい、
シルヴァネスティ・ブラガネスティ連合軍に加勢し、人間軍を撃退せよ! 繰り返す――」
魔法で拡張されたクレインクレインの声が、ゴルダネスティの里に響き渡った。
私とシルキーは走っていくゴルダネスティエルフを追いかけるようにして、交戦地域へと向かった。
「けど、何? ブルーネスティって伝説とか御伽噺じゃなかったの? 第一、神聖地域って何よ?」
「私だって、さっぱりわけがわかりません! ブルーネスティが実在のエルフだったなんて、
誰も知らないし、信じていません!」走りながら、ぬいぐるみの糸を確認する。強度に問題はない。
「待たれよ、人間とアラクネの客人よ!」後ろから声がかかる。振り返ると、ゴルダネスティの兵士
が数名、私たちを追いかけていた。
「クレインクレイン様からのご命令で、キニスン殿とシルバーシルク殿を護衛させてもらうことに
なった、アイリーンと申す! ほか四名、計五名がこれよりお二人をお守り致す!」
「それは頼もしい限り。アイリーンさん、よろしくお願いします」
「よろしく。あ、走りながらで何だけど、ちょっと聞きたいことがあるの。いいかしら?」
シルキーの問いは、走っていても知りたいような内容の情報だった。
「神聖地域って何なの? そもそも、ブルーネスティって存在しないんじゃなかったの?」
アイリーンは一瞬困ったような顔をしたが、すぐに事務的な表情になった。
「神聖地域とは、我々エルフ族の三大集落の丁度中心に当たる場所に存在する、エルフ族によって
守られている聖域のことだ。北には我らゴルダネスティ、南西にはシルヴァネスティ、東には
ブラガネスティの都があり、三角形状の防御ラインを形成し、外部からの敵を寄せ付けないように
している。そしてブルーネスティとは、その神聖地域にわずか数名しか生存していない、エルフの
中でももっとも原始的で希少な種族なのだ」
この話は、私にとって思いがけない収穫だった。エルフ族に関する知識が少ない今、ブルーネスティ
エルフに関する情報を詳しく知っていることは、何よりも役に立つだろう。
……もっとも、このことを誰か外部世界の人――樹海の外の住人――に話したところで、
誰も私の話しを信じようとはしないだろうが。
「あれ、けどその話じゃ、ブラウネスティは……」
「シルキー、ブラウネスティは大規模な集落を形成しません。このような整った防御ラインを
形成するためには、ブラウネスティのように自由に飛び歩かずに、規律を守って生活が出来ねば
なりません。その代わり、彼女たちは遊撃部隊になる。違いますか?」私はアイリーンを見た。
「その通り。キニスン殿はなかなか鋭いな」
「ふぇーんだ、アタシはどうせ鈍感ですよーだ」
この会話のおかげで、私たちの進軍はなかなか軽快なものになった。
しばらく進むと、戦闘の騒乱が聞こえてきた。鋼と鋼がぶつかり合う音、人間やエルフたちの
断末魔の悲鳴、エルフたちが魔法を詠唱する声、空気を切り裂く矢の音……。
私たちは無言で顔を見合わせて頷き、騒乱の中に飛び込んだ。
やはり敵はジャグロック領の狂戦士だった。見境なく暴れまわり、奇声を上げながら武器を振り回す。
致命傷を受けても意にも介さず、破壊と殺戮の限りを尽くす。
脳天に矢が刺さっても暴れまわる戦士を見て、エルフたちは恐怖におののいた。
私の基本戦術は変わらない。相手を傀儡糸で絡めて、そのまま絞め、斬り、刎ねる。
シルキーは、今回は最初から相手の顔を狙って糸を吐いている。
アイリーン率いるゴルダネスティ小隊は、私たちの周囲に現れた戦士たちと刃を交えた。
1000人規模というものの、私たちが加勢に入るまでには四分の一程度にまで敵の数が減って
いたらしい。先頭は程なくして収束を迎えた。
人間の軍はほぼ全滅、エルフの連合軍は250名ほどの死者を出した。
「キニスン殿、シルバーシルク殿、怪我の方は大丈夫か」アイリーンが言った。そう言う彼女は、
左腕に葉っぱを巻きつけ、緊急の包帯代わりにしている。
「私は大丈夫ですが、皆さんは傷だらけじゃないですか。早く治療しないと……」
「キニスン、ちょっとアタシも治療が必要っぽいわ……」シルキーは私に背を向けながら言う。
「どうしたんですか、シルキー」しかし、シルキーは身動き一つしない。
「……なんだかね、下半身が言うこと効かなくて……ちょっとかすり傷を負っただけなんだけど、
どうやら刃に痺れ薬でも塗ってあったらしくて……」
私は彼女の脚を見た。確かに、左側の前から二本目の脚に、小さな切り傷のようなものが見える。
「それは一大事……すぐに治療してもらおう。シルバーシルク殿、すぐに治療部隊の拠点にお運び
しますぞ」アイリーンたちはシルキーを担ぎ上げると、ゆっくりと歩き出した。
「私も同行してもかまいませんね?」私はアイリーンに尋ねた。
「勿論。しかしキニスン殿、これから向かう場所については、外の世界では一切話してはならん。
そのことだけは、どうか心得ていただきたい」
「……まさか」
「フッ、キニスン殿は真に鋭いな。左様、これから我々が向かうのは、神聖地域だ」
神聖地域への道には、既に多くのエルフたちが列を成していた。お神輿状態のシルキーが目立つのは
言うまでもなく、さらにその視線が私に流れるようにして注がれる。
露骨に指を刺されることさえなかったが、やはり私たちは奇異の目で見られた。
やがて、私たちは大きな門の前に辿り着いた。門の前にはシルヴァネスティエルフの門番が二人おり、
やはり奇異の目で私を見た。
「合言葉を言え」ぶっきらぼうに門番が言う。勿論、私は合言葉など知らない。
すると、後ろからアイリーンの声がした。
「『三分待て』」
「よし、通れ」
……おかしな合言葉だ。
しかし、神聖地域の内部は、もっとおかしなことになっていた。
「……」
「……キニスン殿、大丈夫か? 顔が真っ赤だが……」
顔を赤くせずにいられるか。私はそう言いたかった。
私は、伝説のブルーネスティエルフを見た……が、それらは皆素っ裸だった。
蒼い髪、蒼い瞳……そして、何故すっぽんぽん?
いや、それ以上に、彼女たちの話し言葉がおかしい。
「きょうはすごいです。ふんがふんがふんが」
「あああ、だめでごじます。うごかないといいです」
「なおったなおった。よーかったー」
「きょうはあおだけちがうです。たかさきし」
「……あの、彼女たち……ブルーネスティの言語とは……」私はアイリーンに尋ねた。
「彼女たちは、エルフ族が原始の時代から話してきた言葉で話すのだ。勿論我々は、ブルーネスティ語
の翻訳が可能だ。ご心配なさるな」アイリーンは部下たちに命じて、シルキーを下ろした。
「けがですか」ブルーネスティエルフが私たちのそばにやってきた。
「え、えぇ。彼女なのですが、痺れ薬で下半身が麻痺してしまったようで……」
「ちょっとまつといいです。なおせまする。おねーさんおっぱい」
大 丈 夫 な の か 。
私の心配は杞憂だった。ブルーネスティエルフは、本当にあっという間にシルキーの体の
痺れをなくした。
「これでびりびりないです。げんきげんき」
「あ、ありがとう……えーっと、名前はなんていうの?」シルキーがブルーネスティに尋ねた。
「あおいのはみんなあおいのです。むぎちゃ」
「コホン、私が通訳してさしあげよう。今彼女は、『ブルーネスティエルフは皆ブルーネスティエルフ
であり、個々に名前というものが存在しない。これは我々に"個人"という概念がないためである』
……と、申されたのだ」アイリーンが言った。
……ぽかーん。
「……え、あなたが自分ででっち上げたんじゃないの? さっきのすごく短い言葉が、何でそんなに
長くなるのよ? 第一何よ、『むぎちゃ』って」
「むぎちゃはおいしいです」
「今彼女は、『冷やした麦茶はおいしい』と申された」
「いや、聞いてないから! どこに『冷やした』なんて言葉あったのかわからないし!」
なんだか頭が痛くなりそうな会話だ。
「そう言えば、何で彼女たちは裸なのですか? 私が彼女らを直視するのは、いささか問題がある
ような気がするのですが……」私はおずおずと尋ねた。
「あおいのはみんなうみたてなのです。おがめ」
「今彼女は、『ブルーエスティエルフは皆、生まれたままの姿で生活する。恥ずかしがることなく
私たちのあるがままの姿を見てもらいたい』と申された」
私には何がどうしてそうなったのか、全くわからない。
「おひさまいないです。ゆっくりしてけ」
「今彼女は、『今日はもう夜が遅いので、一晩ここで休んでいくと良い』と申された」
今回の言葉は、私にでも理解できた。……これはこれで、何かマズイ気がする。
「では、お言葉に甘えさせてもらいます」
「そうかよーん」
次の瞬間、ブルーネスティエルフの瞳が蒼く輝いた。気がつけば、私たちは真っ暗闇の中にいた。
「いまあかりつけるです」
ぱちん、と指を鳴らす音が響くと、周囲が明るくなる。
「ここは……?」シルキーが目を凝らし、周囲を見回す。まだ光に目が慣れていないらしい。
「できるます。ぷぅぷぅ。でぐちがなくてもはいれるのです。ここはきのなかです」
「今彼女は、『我々ブルーネスティはエルフの中で最も魔法の力に優れており、例え出入り口のない
閉鎖的な空間へでも、テレポートすることで入ることが出来るのだ。ここは、とある大木の内部
空間で、出入り口が存在しない。夜が明けたらみんな外に出してあげるから安心しろ』と申された」
アイリーンもいた。台詞の捏造疑惑は、この際問わないことにしよう。
翌朝、目が覚めると太陽があった。
「あらあら。おきましたか。にこにこ」ブルーネスティが挨拶をしてきた。
「あぁ、おはようございます。皆さんは……?」
「みんなおきてます。ここはそとです。らいおんきんぐ」
その言葉を裏付けるように、シルキーの声が聞こえてきた。
「あ、キニスンおはよう。キニスン一人がお寝坊さんだったから、先にブルーネスティエルフに
頼んで外に出してもらったの。びっくりしちゃった?」
「いえ、構いませんよ。……さて、我々はそろそろ出発しなくては。アイリーンさんたちは?」
「他の部隊との連絡とかで、ちょっと出ていっちゃったわ。しばらくしたら戻ってくるわ」
「もういくですか。またなー!」
「あ、いや、今すぐにというわけでは……」
「そうですか。ゆっくりするといいです」
彼女たちとの会話は難しい。
程なくして、アイリーン小隊が戻ってきた。
「待たせたな、キニスン殿。早速出発なさるのか?」
「えぇ。狂戦士の軍隊の規模が大きくなってきている以上、どんなに急いでも急ぎすぎるということは
ないでしょう」
「左様か。では、行こうか」
それから九日間、私たちは何事もなく樹海の中を歩き続けた。
エルフたち、しかもゴルダネスティが護衛についているというだけで、進行がこれほど楽になるとは
思わなかった。周囲ですれ違うエルフたちも、私のことを訝しげに見はするものの、アイリーンたち
を見て軽く会釈して下がる。もしアイリーンたちがいなければ、私たちはどうなっていただろうか。
その日の野営。
「明日はいよいよ大樹海を出るわけだが……ご両人にお頼みしたいことがある」
「何でしょうか?」私はぬいぐるみの手入れをしながら、アイリーンの話を聞いた。
「言うまでもなく、ブルーネスティのことなのだが……」
「あぁ、大丈夫ですよ。私は絶対、このことを外部のものには言いません」
「キニスン殿がそう言ったとしても、だ……ばれぬという絶対の確証は持てない。誰かがご両人の
記憶をたどり、ブルーネスティを襲撃する輩が現れぬとも限らん。そこでだ」
アイリーンが、いや、アイリーン小隊が皆立ち上がった。
「キニスン殿、そしてシルバーシルク殿、悪いがそなたらの記憶、抹消させてもらおうぞ」
彼女らの行動は早かった。二人がシルキーに飛び掛り、片方は口を、もう片方は両腕を封じる。
私も二人に両腕と口を封じられ、抵抗が出来なくなった。
「わかってくれるな、キニスン殿。これもブルーネスティを守るため……苦痛ではあろうが、
覚悟してもらおう。記憶に別れを告げ……」
アイリーンが突然倒れた。
突然の出来事に、アイリーンの部下も驚き、慌てふためく。
「何やってんだ! さっさと逃げろ!」
現れたのは、ブラウネスティエルフ――ミュキだった。
その声に弾かれたように、私とシルキーはゴルダネスティたちの腕を振り払う。虚を突かれた
ゴルダネスティたちの腕は、簡単に振りほどくことが出来た。
「さぁ、とっととずらかるよ!」言うが早いか、ミュキは猛スピードで走り出した。
私とシルキーもその姿を追い、走り出した。
「ま、待て! 貴様ら何をしている、早く追え!」アイリーンの声が背後で響いたが、追っ手が
私たちに追いつくことはなかった。
「ったく……何度、アタイに、助け、られれば、気が、済むのさ!」しばらく走った後、
私たちは大樹海の出口に到着した。その場にへたり込み、ハアハアと肩で息をする。
「いや……本当に、ありがとうございました……よくわかりましたね……」
「んなの……簡単だ……ずーっと、付けてきた、からな!」衝撃の事実。全く気がつかなかった。
「嘘、アンタ、ずっと尾行してたの? 何なのアンタ、ストーカー?」
「ち、がわい!」似たようなものだと思うのだが。
「それより、アンタだよアンタ。シルキーだっけ? アンタ、魔物なのにどうやって討伐派の
領地に潜り込むつもりだい?」
「あ」それは私も考えていなかった。私としたことが。
「ほら、やっぱり何も考えてない。そんなことだろうと思って、これ持ってきたんだよ」
そういってアイリーンが取り出したのは、小さな金色のネックレスだった。
「わぁ、綺麗! なぁに、これー!」シルキーがやたらとはしゃぎだした。
「騒ぐなって! コイツはなぁ、『擬人のお守り』って言って、魔物が身につけると人間に見える
ような魔法がかかってるんだ。アタイが人間のところに行くとき、これをよく使ってたんだ。
多分アタイはもう使わないだろうから、遠慮なくもらっていきな」
ミュキはそう言うと、シルキーの首にお守りを下げた。次の瞬間には、シルキーの額から宝石の
ような複眼が消え、蜘蛛の足は人間のそれになっていた。
「わぁ、すごーい! え、これホントにもらっちゃっていいの? ありがとうミュキ!」
「いいんだいいんだ。けど、大事にしろよ。それじゃーな」
「えっ? ちょっと、ミュキ!」シルキーが伸ばした手をすり抜けるように、ミュキは走り去って
しまった。
途端に、彼女の言葉が脳裏に蘇る。
「間違ったことは嫌い」。
彼女は私たちに、おかしくなりつつあるこの世界の「間違い」を正すように、願いを託したのでは
ないだろうか。シルキーは、ミュキの気持ちをそこまで汲み取ることが出来るだろうか。
「……行っちゃったね、ミュキ」シルキーがぼそりと呟く。
「えぇ、行ってしまいました」
「ミュキったら、何で行っちゃったんだろ。樹海に戻ったら、他のエルフたちに捕まっちゃうのに」
「でも、私たちに付いていくことも出来ない。そんなことをしたら、『擬人のお守り』がもう一つ
必要になってしまいますし。それに、彼女はうまく逃げおおすことが出来るんでしょう。
そんな覚悟がなければ、樹海に戻るなんて真似はできませんよ」
「そう……」
人間の姿のシルキーは、再びぼそりと呟いた。
目指すジャグロック領は、目と鼻の先である。
私たちはいよいよ、狂戦士化の真相に迫る。
金物語 fin
―おまけ―
「そういえばシルキー、フッチャは『未確認神闘シンドローム』のほかには、どんな曲を教えて
くれたんですか? まさか、あの曲だけなんてことはないでしょう?」
「うん、だけどなんか、どれもこれも意味不明。『Hard Chain Reaction』とか、『いわれなき
リベンジ』とか、『イナクナリナサイ』とか。何なのあの人、趣味爆発させすぎじゃない?」
言 え て る 。
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