氷の女王

・精霊属 ・エレメント型

○生息地…雪原地帯「氷の宮殿」
○気性……冷酷
○食糧……人間の男性の精

○雪山の最奥、人の寄り付かぬ「氷の宮殿」に住まい、雪と氷の世界を統べる強大な魔物。
 雪原地帯が雪や氷に覆われているのは、彼女達が存在するからであると伝えられ、
 存在するだけで一帯に心まで凍てつく冷気を漂わせ、吐息は吹雪となる。
 彼女達の纏う冷気は、強すぎるあまり自らの心すらも凍らせ、人間への関心や男性へと向ける欲求や愛情を一切持たず、目の前に凍死しそうな者が居ようと何の感慨もなく、人間を死なせるなという魔王の命に従い、淡々と部下を呼び寄せる。

 冷気と吹雪が覆う領域内の様子を、宮殿の王座に居ながらにして知る事ができ、また冷気と吹雪により領域の全ての生物を凍えさせ、その精を奪い糧とするため、彼女達が宮殿の外へ出る事はほとんどない。
 だが、そうする中で、彼女達の冷気により孤独と寂寥感を覚えた男性と魔物が、それを埋めるべく愛を囁き肌を重ねる姿に、彼女達の凍った心はほんの少しだけ揺れ動く。
 彼女達自身、その心の動きが何なのか理解できぬままに同じ光景を求め、男と女を見かけては、凍える吐息を浴びせかけるという。
 彼女達が纏う冷気は、彼女達に近づく程に強くなり、目の前に立つだけで、まるで氷の塊に包まれたかの様な寒さが襲い、孤独や寂寥、そして心が凍り付く虚無感をもたらす。
 雪国に住む魔物達でさえ、夫と身を寄せ合い、愛を確かめ合いながらでなければ、女王の前に立つ事すらできず、それ故に、彼女達の元へと近づく男性は、彼女達と出会う前に軒並み他の魔物達と結ばれる事となり、彼女達がその身をもって心を動かすモノの正体に気付く機会は滅多に訪れない。
 もし、彼女達の元へと男性が辿り着いた場合、男性の心は既に凍り付いて虚無となり、もはや目の前に存在する女王に縋りつく事しかできず、躊躇する余裕すらなく熱を求めて女王と交わろうとする事だろう。
 それに対しても女王は一切の感慨を持たず、ただ男性の好きな様にさせ、受け入れるが、男性の唇が彼女達の唇と触れた時、彼女達に大きな変化が訪れる。
 男性から直接、唾液とともに注がれた精の一滴は、それまで奪ってきた冷たい精とは違い、確かな熱と共に女王の心へと染み渡る。
 熱を求める男性が、彼女達の戸惑う心などお構いなしに男性器を突き入れ、体内へと精を注ぎ込めば、その熱が内側から彼女達の凍り付いた心を熱し、溶かしていく。
 身体の奥を突かれ、熱を注がれる度に、彼女達の声には熱を帯び、自ら腰を振るい熱を求める様になっていく。
 そうして、互いに求め合う夫婦となる事で、ようやく自らの心を動かすモノの正体に気付くのだ。

 彼女達の氷の魔力は強すぎるため、一度夫により溶かされても、その心は容易く凍り付いてしまう。
 しかし、一度夫に溶かされる悦びを知った女王は、再び心が他の全てを受け付けぬ状態になろうとも、夫への想いだけは忘れる事無く、夫にだけは心を開き、熱を求めて再び肌を重ねるだろう。
 そして、一瞬たりとも夫の熱が自身から離れる事に耐えられなくなってしまい、何は無くとも互いの身体を絡め合おうとするという。



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