リビングアーマー

・アーマー属 ・魔法物質型

○生息地…遺跡、古城などの古びた建造物
○気性……献身的、感情表現に乏しい
○食糧……人間の男性の精

○命無き鎧に魔力が宿り魔物となったもの。
挿絵では鎧を纏う半透明の女性の姿をしているが、あくまでもこれは彼女達の夫から見た姿である。
 それ以外の人間の眼には女性の姿を見る事はできず、さながら、中に誰も入っていない鎧だけが、ひとりでに動いている様に映る事となる。

 主を持たず、主人となる者を求めて男性を襲う場合もあるが、多くは主と共に戦い続けた鎧が、主を護るための力を求めて魔物となったものである。
 鎧である彼女達は、あらゆる危険から身を挺して主を護る事が行動原理であり、魔物となり硬度を増した鎧は、鋼を砕く程の一撃や鋼を溶かす高熱の炎も物ともしない。
 自律した兵士として行動する他、普通の鎧の様に自身を主に纏わせる事もできる。
 一度夫を定めた魔物の肉体は、夫と交わるのに最適なモノへと変わるが、彼女達の場合は鎧も含めて夫である主専用のモノとなる。
 夫以外の男性は決して身に着ける事はできないが、夫にとっての彼女達は、窮屈さや重量を感じさせず、身体に一切の負担をかけない最高の鎧である。
 彼女達を身に纏うと、互いの身体が重なって精と魔力が混ざり合い、まるで一つになったかの様な感覚を覚える。
 互いの感覚も共有され、夫は人の身でありながら魔物のごとき身体能力や鋭敏な感覚を発揮する事ができる。
 この際の感覚は、快感こそ無いものの、抱擁にも似た不思議な高揚と安心感を互いにもたらし、一度味わえば、より深く一つとなる感覚を求めて積極的に彼女達と交わろうとする様になるだろう。
 また、恒常的に交わり、互いの身体を馴染ませる事で、彼女達を身に着けた際により深く同調し、感覚が研ぎ澄まされる。
 つまり、戦えば戦う程に彼女達を求める様になり、交われば交わる程に強くなっていく。
 戦いの最中に互いの身体を重ねて戦う夫婦は、戦いの外においても常に身体を重ね、愛を交わし合う様になるのだ。
 鎧と共に鋼の様に強固な精神を持ち、外部からのあらゆる衝撃や刺激に表情ひとつ変えない彼女達だが、そのどちらも夫からの刺激を防ぐ術を持たない。
 夫が望めば鎧は容易く剥がれ落ち、さらけ出された中身を夫が触れれば、精神は嬉々として快楽を受け入れ、だらしなく表情を崩れさせる。
 鎧と同様に内側の肉体も、夫を中に迎え入れるために最適なモノであり、その心地よさは、一度挿れてしまえば精を放った後も抜く気になれず、繋がったままでいる事が癖になってしまう程である。

 動く鎧を身に着けようとする者はいないが、眠っている彼女達は地面に転がる普通の鎧にしか見えない。
 着てしまった場合、男性なら彼女達の主となるだけだが、運悪く女性だった場合は魔物の魔力が満ちた鎧の中にその身を浸し続ける事となる。
 はじめの内は気分が高揚し、身体が火照る程度の変化だが、多くの場合、女性はそれを戦いの高揚や鎧の中にこもる熱であると勘違いしてしまう。
 やがて、鎧の隙間から汗ではなく愛液が滴り、何かに突き動かされる様に男性を求め、交わるために鎧を脱ぎ捨てる頃には、すっかり魔物へと変わってしまっている事だろう。



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