マイコニド
・マタンゴ属 ・植物型

○生息地…森林、洞窟
○気性……温厚
○食糧……人間の男性の精液

○じめじめとした場所に生息する小柄なキノコの魔物。
 「歩きキノコ」とも呼ばれ、原種の「マタンゴ」がその場からあまり動かない一方、「マイコニド」は極めて活動的で、獲物となる人間の男性を求めて徘徊するのが特徴である。
 穏やかな気性で、何を考えているかわからないぼんやりとした表情を浮かべているが、それとは裏腹に普段からせわしなく走り回っており、眠るとき以外は足を止める事がない程だという。

 男性を見つけるとまっすぐに駆け寄り、抱きつこうと飛び掛かる。
 決して強い魔物ではないが、鋭い剣での攻撃ですら、ぶにょんと弾く柔らかく弾力のある身体を持つ。
 一直線に向かってくるため転ばせたり、跳ねのける事も容易いが、歩みを止める事ができるのは地面を弾む一瞬のみであり、何度転ぼうとも、何度跳ね飛ばされ様とも、何度でも挫ける事なく男性に飛びつこうとする事だろう。
 マタンゴとは異なる進化を経ており、胞子を広範囲に拡散し、それにより男性を誘引する能力は失われている。
 だが、胞子に宿る強い幻惑作用は健在で、これを男性が吸うとふわふわと気持ちのいい気分になる一方で、男性器は痛い程に膨張し、自ら進んでそれを彼女達に突き入れる様になるだろう。
 この胞子は彼女達が衝撃を受けると周囲に放たれる様になっている。
 勢いよく男性に抱きつく事で撒き散らされるのはもちろんの事、下手に彼女達に攻撃を加えると、その衝撃により飛び出す大量の胞子に巻かれる事となってしまうのである。
 活動的になった分、彼女達はより多くの精液を必要としており、その交わりは常に止まる事なく動き回る生態と同様に、小柄な体躯を大きく揺らし、止まる事ない腰つきで精を搾る激しいものとなる。

 男性を手に入れる前は森や洞窟のあちこちを歩き回って過ごす彼女達だが、夫となる男性を手に入れた後は、常に夫の後をついて回る様になる。
 一方、常に歩き回っている普段の様子とは裏腹に何かに根を張って過ごすマタンゴ属の性質故か、夫となった男性に抱きついた状態で、じっと動かずに過ごす事を好んでいる。
 夫が腕の中に迎えようとすれば、喜んで飛びつき、夫の身体に腕を回し、脚を絡めてぎゅっと抱きついていようとする事だろう。
 また、夫と繋がった状態でいると落ち着くらしく、安らぐあまりに繋がったままの状態で眠ってしまう事すらあるという。
 そのため、交わりが終わった後も男性器を離さず、咥え込んだまま抱きついて離れようとしない様子もしばしば見られる。
 彼女達の女性器はさながら絡めとる粘菌の様で、振りまかれる胞子が彼女達の膣内で男性器を更に膨張させる事により、一度挿れると容易く引き抜く事はできない様になっている。
 加えて、胞子により思考がふわふわとした恍惚と快楽に支配された男性は、彼女達の中から抜く事を忘れてしまう場合すらあるという。
 この様に、まるでキノコが樹木に根を張るかのごとく、常に夫と繋がった状態で過ごす者もいるそうだ。



図鑑TOPへ

この文章の許可の無い転載、再発行を禁止します。
No reproduction or republication without written permission.