ぬらりひょん

・妖女属 ・魔人型

○生息地…ジパング地方(人里)
○気性……好色、意地悪
○食糧……雑食、人間に近い食事を好む。

○ジパングに生息する妖怪の一種。
 相手をからかう様に会話をはぐらかす事が多く、ぬらりと掴み処の無く飄々とした性格で、いつのまにやら人の家に上がり込んでは茶を飲み煙管を燻らせ、まるで自分の家の様にくつろぎ始めるという。
 一見すると人間に近い姿の種族だが、その身に夜の闇を纏い、百鬼を従わせるというジパング有数の大妖怪である。
 夜は妖怪たちの時間であり、夜の闇を纏う彼女達はただそこに居るだけで妖怪たちを活性化させ、夫婦が互いを恋しく想う夜の雰囲気を作り出す。

 気に入った男性の家へと上がり込んだ彼女達は、家主に対して気安く接し、食事すら共にするが、家の者達はそれに対し違和感を感じる事ができず、まるで彼女達こそが家の主であると錯覚してしまうのだという。
 そして、男性の寝床にも当然の様に入り込むが、やはり男性は同じ布団で同衾する彼女達の存在に違和感を覚える事ができない。
 それどころか、主である彼女達に抱かれる事が当然の様にすら感じられ、彼女達が選んだ相手が自分である事に悦びすら覚える事となる。
 夜の支配者たる彼女達は卓越した手管を持つ妖女でもあり、彼女達の細い指先は撫でるだけで心地良い快楽を男性に与え、指先一つで自在に射精へと導くという。
 彼女達との一夜を過ごせば、快楽のあまりに現実感すら虚ろとなり、その行為を反芻する事もおぼつかず、男性はただ、彼女達が再び夜這いに訪れる次の夜を待つ事となる。
 その後もぬらりひょんは男性の家へと居座り続けるが、普段の彼女達の戯れに満ちた言動からは、その本心を掴む事ができず、時として男性は彼女達から向けられる好意に確証を持てずに寂寥感や不安を覚えてしまうかもしれない。
 だが、彼女達が夜に寝床で囁く愛の言葉は、普段の戯れを一切感じさせない、確固たる彼女達の本心であり、それ故に男性は心から夜の到来を待ち望む様になっていくのだ。

 夜の支配者たる彼女達が持つ威容と妖艶を内包する得体の知れぬ魅力は、妖怪は勿論の事、人間ですらその姿に憧れを抱き、男性ならば妖に対して強い魅力を覚えて妖怪の伴侶となる事を望み、人間の女性ならば自らも彼女達と同じ妖怪となる事を望む様になってしまう事だろう。
 また、彼女達の夫となった男性も、彼女達が伴侶として選ぶ程に妖を惹き付ける魅力を持つという事であり、毎夜を彼女達と交わって過ごし、常に夜を望む様になる事で、やがてその魅力を開花させられ、彼女達と並び立つに相応しい夜の支配者となる。
 多くの妖怪達をその身により支配し、侍らせるに相応しい存在であり、多くの妖怪達が男性へと惹きつけられ、妾として共に夜を過ごす事を望むだろう。
 ぬらりひょんが纏う夜の闇によって、男性の周囲は常時、妖怪達が交わりを求める夜となり、男性は彼女達の主として、かわるがわるに妖艶な妖怪達と身体を交す終わらない夜を過ごす事となる。
 男性の周囲には何時いかなる時も男性を慕う妖怪達が取り囲む様になり、男性が外を歩けば付き従う妖怪達の群れとなり、「百鬼夜行」と呼ばれる光景ができあがるのだ。



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