ソルジャービートル

・ビートル属 ・昆虫型

○生息地…森林、山岳地帯
○気性……素直、冷静、従順、感情表現に乏しい
○食糧……草食、樹液や果物等

○剣も矢も通さない鎧のごとき頑強な外骨格に身を包む昆虫型の魔物。
 外骨格が変化した角と武具の様な器官、そして甲虫の様な重厚な下半身を持った産まれながらの重騎兵で、怯む事も乱れる事も無い戦いぶりは完璧に訓練された兵士の様である。
 口数が少なく表情も乏しいうえに、虫の様な独特の瞳からは感情を読み取る事が難しい。
 この種族の角と武具には様々な形状のものが存在し、挿絵の個体の様に二本角とハサミの様な武器を持つ「シザービートル」や一本角と槍の様な武器を持つ「ランサービートル」、角を持たず頑強な大盾を持つ「シールドビートル」等に区分されている。
 甘いものを好み、好物である樹液や人間の男性の精の甘い香りに誘われ、その重量感のある身体で森林を闊歩する。背中の甲殻の中には翼があり、短い距離なら飛行する事もできる。

 精の匂いに誘われ、人間の男性を見つけると子を成すべく襲いかかるのだが、彼女達は女性器で交わる前に、まず甘い精の匂いの発生源である男性の下腹部に顔を寄せ、男性器に舌を這わせて精液を舐めとろうとする。そうする事で本格的に繁殖を行う前に、まずは伴侶となる男性の精液の味を覚えるのだ。彼女達はそうして夫と認識した男性の傍に常に控え、護衛する兵士の様に振舞うのだという。
 表情の無さや感情というものを感じさせない戦いぶりから、心の無い兵士であると誤解されがちな彼女達だが、夫婦となればその無表情の中に彼女達のたしかな心が見えてくる。
 彼女達は口から飲む精液の味を強く好んでおり、しきりに飲みたがっては、ふいに夫の男性器に口元を寄せては精液をねだる事があるという。彼女達にとっての最高の甘露であるそれを一心不乱に舐めとる際の瞳には、どこか熱に浮かされうっとりとした色が混ざり、精液が飲めないでいると、若干ながら頬を膨らませ不満そうな表情すら見せる事もある。
 夫と交わる際には人体と下半身の境い目あたりに生えた前脚により夫の身体を抱きこむ様に固定し、離れようとすると身体を振るわせて嫌がったりと、感情の無い兵士ではありえない我侭な姿も見せ、子宮へと精液が注ぎ込まれる際の潤んだ瞳の奥には、たしかなメスとしての恍惚の色が見えるだろう。

 餌場や人間の男性を見つけた際、同種の別個体と鉢合わせた場合には、二体のソルジャービートルによる決闘が行われる事があるという。種族全体の練度を高め、餌や男性の優先権を決めるための習性なのだが、人間の男性を取り合う決闘の場合、勝敗により男性を奪い合うわけではなく、あくまでも「交わる順番」を決めるためのものであり、結局一匹と交わった後にもう一匹と交わる事となってしまうのだという。
 そのため、男性が決闘の隙に逃げ出そうとすれば、その場で決闘は中断され、二匹の標的はその場で男性へと移り、まるで染み出る樹液に虫達が群がるかの様に、彼女達に群がられてしまう事となる。

図鑑TOPへ

この文章の許可の無い転載、再発行を禁止します。
No reproduction or republication without written permission.