「ラヴィーネ2番隊戦記」
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「・・・おい、聴いたか!?解放軍、シェングラス王城急襲だってよ!」

「やるもんだな・・・ま、全面戦争も近いか?」

そんな噂話で持ちきりのブレウィス領酒場・・・そこの一角に傭兵部隊の長が集まって会議をしている。今度から公開方式に変えたと議長が言っていたが、ちょっとずれてるのではないかと言う意見も出てくる。

議長が相変わらずワーラビットのメイを同伴させ、これからの傭兵部隊をどうするかという議題を提出する。

「・・・やはり自由のままでいいのか?」

「それが傭兵部隊。いいじゃないですか、解放軍に付いたときに手痛く痛めつけてやって借りを返せば。向きになってシェングラスと敵対することも無い。」

リューンが堂々と意見を述べている・・・シルフィの基本の理論に立ち返って行動すべきと言っているようだ。

シェングラスに痛めつけられた傭兵部隊は少し複雑な気分だが、リューンははっきりと発言する。

「誰かに縛られる必要なんて無い。この一件は綺麗さっぱり忘れて、またやるべきことをやればいい、違う?」

「・・・まぁな。」

ルクレールもしぶしぶうなずくと、議長がこれでいいなとまとめほぼ全員がうなずく。傭兵部隊は自立を失わなず、自由に行動する・・・それがあるべき姿だろう。

危うく失いかけていたものを戻してくれたとリューンは一息つく。誰かの勢力につくのは別に構わないが基本的に自由にあるべき・・・それが傭兵部隊だ。

 

「ま、あんな感じでいいのかな?俺たちさ。」

「だろうな。」

解放軍から報酬を貰ったイーグレットとフィーナは会議を盗み聞きし、やっぱり自由でいいかと思ってしまう。

自分達を受け入れてくれればシェングラスでも構わない。それに民間の討伐依頼などもありそういうのを引き受けてやれるのは傭兵しかいない。

「・・・さて、私達も出るぞ。次の依頼だ。」

「そうだな・・・どうするかな?」

掲示板に消してもいつの間にかたまっている依頼。報酬や内容をしっかりと吟味して2人は何をするか考え始める。

 

「あの、シュネー・・・さん?」

「お前・・・あぁ、すまなかった。」

エンフィス領内領主邸宅。リトが訊ねてきたためシュナイダーは覚悟を決める。彼女はきっとシュナイダーを刺し殺しに来たのだろう。

今更この命は惜しくない。シュナイダーは今まで語られなかった事実をはっきりと語る。

「・・・え?」

「語っておく必要がある・・・俺がシュナイダーだ。氷の奔流は・・・俺だ。」

「で、でも貴方は!確かシュナイダーは男で、それも人の・・・」

「フェルアに殺された後、どこかの科学者によって魔物に転生させられた。酷い話だが・・・な、もっとも俺にはお似合いだろう。首の無い騎士など。」

ショックを抑えきれない様子でリトがふらついているが、気を取り直すと真剣な表情で訊ねる。

「・・・あの海戦、ですが・・・あれ以外に方法はあったんですか?あの時とりえる方法は。」

「・・・残念だが、それ以外に無かった。解放軍戦力に甚大な犠牲を出さないためにはああするしかなかった。」

そう答えるしかなかった。まっとうに戦えば勝つ事すら出来なかった相手を火計で一気に焼き、終わらせる程度しか取りえる作戦は無かった。

その後でシュナイダーは相当なバッシングを受けたが同僚や部下がかばってくれたのをはっきりと覚えている。

「・・・だったらいいです。」

「何?」

「私はああいう戦術は納得できませんが、結果を見れば私達にとって住みよい環境が出来たんですから。油まみれの海は嫌でしたが、シェングラスに仲間を狩られるよりは・・・」

シェングラスでは人魚を狩って肉を喰らうということもしばしばあるとされている。寿命が延びるということで評判らしい。

だからこそシェングラスではなく解放軍に勝ってほしいという意識が合ったらしい。シュナイダーはうつむきながらリトに答える。

「いいのか?」

「解放軍の領主は全面的に私たちを認めてくれて、狩りも一切禁止してくれたんです。だから・・・あの手荒な行為で逆に良かったと思うんです。氷の奔流・・・貴方には感謝してます。」

「だが、海洋汚染とかで甚大な被害を・・・」

「海流に乗せて一気に押し流したので被害も深刻ではありませんよ。多少手間取った程度ですから。」

一気に力が抜けていくような感覚を受けたシュナイダーだが、リトは重ね重ね礼を言うとそのまま出て行く。

シュナイダーが見送ると、後ろからリファが声をかけてシュナイダーを羽で小突く。

「ふーん、今の人って彼女?」

「どういう姿でもリファ・・・お前だけがいいんだが。しかし・・・」

「ううん、それより伝え忘れてたけどね・・・シュナイダー。行く前に生んだの・・・卵。調べたらちゃんと受精したって。」

「・・・おい、ちょっと待て!?」

嬉しいやら驚きやらでシュナイダーはびっくりした様子だが、リファは嬉しげにシュナイダーへと語る。

「そ、これであとは挙式。シュナイダーをドレスで着飾らせて、私も一緒に・・・」

「ちょっと待て俺はタキシードで・・・」

「あ、その前に・・・一緒に。」

無理やりシュナイダーは軍用の服をはがされ、ベッドに押し倒される・・・ハーピーは華奢な外見の割りに案外力は強いのが多い。ことに軍所属なら大量の物資輸送や空挺投下などかなりの重量物を運ぶことも多いのだ。

「な!?」

「心配しないで、今日リードするのは私。じゃあ。」

満面の笑みでリファが豊満なシュナイダーの胸をなでていく。自分よりも大きいためか、結構嫉妬している一面もある。

「み、見てどうなると・・・ひゃっ!」

「かわいいな、シュナイダー。」

羽による刺激が相当なためかシュナイダーは甘い喘ぎ声を上げ、リファはそれが楽しいのか羽でなでたりつついたりして弄んでいく。

そしてズボンも脱がせると、そっと笑ってみせる。

「濡れてる、シュナイダー。」

「・・・っ・・・やはり・・・」

そっと羽で裂け目をなでられ、シュナイダーが体を振るわせる・・・今まで感じたことが無い感覚に戸惑いも感じている。

リファは遠慮せずに片羽で首筋をなでてもう片方は・・・中に差し入れている。少々無謀にも見えるがどちらにとってもまだ余裕らしい。

「っ・・ああぁぁ!?」

「ほら、気持ちいいじゃない。」

羽が内部にさわる独特の感覚にシュナイダーの思考がかき消されていく。もう片方の羽も敏感な部分を重点的に攻め、喘ぎ声を出していく。

もう十分、リファはそう判断すると一気に羽を奥まで突き入れる。

「ほら、シュナイダー・・・いっちゃえ。」

「っああぁぁぁ!!あ・・・・」

一瞬だけ快楽に染まり、意識が飛び盛大に潮を吹いてシュナイダーが果てる・・・リファーは蜜でべとべとになった羽を引き抜いて、なめてみせる。

「・・・ありがと。血も美味しく。」

「・・・」

好きな相手に純潔を奪われただけでまだマシかとシュナイダーはため息をつく。この様子だと当分襲われたり襲ったりの繰り返しだろう。

思わず首も落ちてしまったが慌ててシュナイダーは取り戻すと、リファが布団をかける。

「さ、もう寝よう?疲れたら眠る、これ常識。」

「・・・そうだな。」

満面の笑みでリファが抱きつき、シュナイダーもやれやれと思いつつ抱き寄せている間に2人のしゃべりは寝息へと変わっていく・・・はずだった。

それがいきなり警報によってさえぎられる。シュナイダーが慌てて服を身にまとい、鎧を着用するとグレイヴを持つ。

リファも拭くと鎧、そして剣を装着すると居住スペースから作戦室に直行。すでに部隊は集結しレクシスも受け取った命令書を読み返している。

「お前ら・・・まぁ構わんが。」

顔が赤いのを見て取ったレクシスがため息をつくが、シュナイダーもそっと微笑する・・・レクシスの息遣いが荒く、どう考えてもシージュとしている最中だったようだ。

「レクシスこそ、何故息が荒い?」

「ここで言うことでもあるまい。続きは終えてからだ・・・イーゲル領の軍が動き始めた。前回の報復戦らしくグリレ領に進撃している。シュナイダーは後方から突撃、俺の軍は正面でグリレ領内の村で防衛線を張る。」

駐屯していた軍のことを2人は思い返し、ようやく来たかと身を引き締める。するとハーピーの伝令が報告を携えてくる。

「敵軍は大砲や術式砲を備えた重火器部隊!想像以上にスピードが速くこのままでは・・・」

「ハーピーの部隊で空挺強襲だ。重火器の位置は?」

「軍後方!前衛を突破するのは難しそうです・・・」

レクシスは報告を聞き、すさまじい速さで頭を回転させるとシュナイダーに伝える。

「空挺強襲で重火器を鹵獲だ。10分で後方部隊制圧、その後砲撃要員を送り前衛部隊に砲火を浴びせろ。その砲台護衛も含まれる。」

「任せろ!」

リファをみてシュナイダーがうなずき、彼女も同時にうなずく。空挺強襲とはかなり難易度が高いが、リファが居ればそういう任務でも出来なくは無い。

ラヴィーネ部隊も覚悟を決めて敬礼すると、一斉に作戦室から外に出て強襲部隊がハーピーに捕まる。

「・・・終わったら俺の番だ。いいな、リファ。それと首は落とすなよ、絶対だ。」

「解ってる。じゃあ出撃!」

無数のハーピーが飛び立ち、兵員を抱えての強襲作戦に向かう・・・陸上からも騎兵部隊が同時に出るが、その中に銀色のブレストプレートを付けた緑色の少女の姿もあった。

「来ちゃったです、レクシス。」

「またか・・・もう何も突っ込む気は無い、突撃しろ!」

「解ったです!ナーウィシア解放軍、突撃です!」

槍を構え、騎兵部隊が一斉に進撃する・・・黒い鎧をまとったナーウィシア解放軍の「雪崩」が、一気に進撃し敵軍を飲まんと向かっていく。

 

「板状の駒はどう動きますかね・・・」

「怪我は大丈夫ですか?フェルア様。」

あの時の侍従が服をまとっていない姿・・・もっとも大事な部分は毛で覆われ出来かけの羽と尻尾をもた彼女がフェルアに報告する。

「右腕は修復不能でしたね。まぁ、そんなことよりラヴィーネとはもう一戦交えなくてはなりませんね。」

「はっ・・・戦争は?」

「いえ。まだ先ですよ・・・私も今回の戦いでだいぶ力を使いました。当分餌探しでしょう。ニナ、貴方も探しておきなさい?」

「解りました。」

この城内での餌確保はかなり難しい。まぁフェルアの部下は洗脳がかかっているためかあるいはもう諦めたか簡単に食べられるのだが。

それでも、少し嫌がる人から餌を貰うのがいいとフェルアとニナも思っている。

「・・・野望は果てしなく、まだ先のようですね。」

フェルアはふぅとため息をつき、また遠くを見る。自分の思想は間違っていないはずと確認し、もう一度野心を確認しなおす。

シェングラス・・・いやどの国家でもいい。奪い取り理想郷に作り変える。人も魔物も共存できるような世界、永遠の統治者による不変の世界を。


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