氷柱女 (つららおんな)

・精霊属 ・エレメント型

○生息地…ジパング地方・雪山
○気性……献身的、好色、凶暴
○食糧……雑食、人間の男性の精

 ジパング地方の雪山に生息する氷の精霊で、青白いひんやりとした肌を持ち、氷柱の様に美しくも冷たく鋭い印象を感じさせる美女である。
 近似種である「雪女」と出自を同じくする魔物であるため姿こそ似ているものの、温厚な性質の「雪女」と比べ、「氷柱女」はより淫魔的で凶暴な気質を持ち、色濃く魔の性質を表出させた種族である。
 彼女達は自身の心をも凍らせる「氷の魔力」を宿しており、常に孤独と寂寥感に苛まれている。
 それ故に彼女達は人間の男性に宿る熱を欲してやまず、獲物となる男性が雪山に訪れると、己の肉体と心を溶かす放蕩と快楽を求め、積極的に男性に襲い掛かり犯そうとする。

 氷柱女の名の通り、彼女達はその身に宿る氷の魔力を氷柱に変えて操る事ができ、抵抗する獲物には美しい氷柱の雨が降り注ぐ事となる。
 この氷柱で身体を貫かれた男性が外傷を負う事はないが、貫いた箇所から氷の魔力が全身へと広がっていき、心を凍らせる力が耐えがたい孤独と寂寥感をもたらす。
 心が凍り付いていくにつれ、男性は寒さのあまり何も考えられなくなっていき、やがては縮こまって震えたまま、動けなくなってしまうだろう。 
 こうして凍った心を溶かす事ができるのは、魔物が男性へと向ける「熱」のみであり、彼女達から抱擁を受け、その身を犯されるまで男性の心にぬくもりがもたらされる事はない。
 そんな状態で魔物に襲われれば、身も心も溶かそうとする魔物の「熱」の熱さと心地良さに抗う事ができず、その身を委ねてしまう事となるのだ。
 氷柱女はそんな凍り付いたご馳走を舌なめずりと共に自身の住処へと連れ帰ると、その肉体で男性の精と熱を貪ると共に、女が男へと向ける狂おしく淫らな熱を注ぎ込み、互いに溶けあってしまいそうな交わりを愉しむのである。

 彼女達は凍り付いた自身が常に夫によって溶かされた状態である事を望んでおり、それ故に夫の「熱」に非常に貪欲である。
 日夜を問わず身体を重ね、できる限り長い時を夫と繋がり続け、交わりの熱に浮かされ、精を浴びて過ごそうとするのはもちろんの事、隙あらば夫に身を寄せ手足を絡め、人肌の熱まで余す事なく愉しもうとする事だろう。
 また、激しい気性とは裏腹にジパングの魔物らしく献身的に夫に接し、世話を焼くといった行動も見られるが、こういった接触を伴わない愛を注ぐ行動も彼女達にとっては心に熱をもたらし己を溶かす、心地良い行為の一つであるそうだ。
 ただし、一見淑やかに振舞い、男性から求めさせ妻として娶る事を望ませる手管を持った雪女と比べ、氷柱女は男性の元へと押しかけ、有無を言わさず犯して肉体を悦ばせ、有無を言わさず尽くして心を悦ばせるものとなっている。
 彼女達は献身的に尽くす様もまた、欲望のままに夫を愛する「凶暴な魔物」としてのものなのだ。



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