ワンダーワーム
・ウォーム属 ・昆虫型

○生息地…不思議の国
○気性……穏やか、好色
○食糧……草食、果汁やキノコから作られた煙草の煙

○ぷにぷにと柔らかな芋虫の身体を持つ「不思議の国」の固有種。
 この種族の始祖は不思議の国に迷い込んだ一匹の「グリーンワーム」で、「ハートの女王」が楽しみにしていたお茶会のお菓子を食べ尽くした事で女王の怒りを買い、その食欲を抑え込むための魔法をかけられた事が始まりである。
 結果、蛹を経て蝶である「パピヨン」へと変化する能力を失い、芋虫の姿のまま身体が成長していく種族となった。
 そのため、原種の様な成体となるための大量の食事を必要とせず、少量の果汁などの極めて少ない食事でも長期に渡る活動が可能となっている。
 本来であれば成体への変化のために蓄えられる栄養や魔力は、全て身体の成長に使われるため、少食であるにも関わらず原種と比べて大きく育つ傾向があり、豊満な身体付きになりやすい。
 その大きな身体を少ない栄養や魔力で維持しているためか、あまり活動的ではなく、言動や行動は原種以上にゆったりとした様子を見せ、気だるげな雰囲気を纏っている。

 とりわけ特徴的な性質の一つが、不思議の国の植物やキノコなどから作られる「煙草」を好み、普段からこの煙草をくゆらせ、煙で腹を満たしているという点である。
 彼女達の周囲に漂う甘い香りの色鮮やかな煙は、吸い込んだ者に陶酔的な気分と生殖の欲求をもたらすと共に、理性や常識が煙に巻かれるかの様に揺らぎ、曖昧なものとなっていく。
 加えて、この煙を体内に取り込み続けた事により、彼女達の口から漏れる吐息にも煙そのものとほぼ同じ性質が備わっている。
 会話を行えば口が開く度に吐息が零れ、男性は彼女達の煙に巻くような言葉を聞くうちに、くらくらする様な陶酔的な気分になっていく。彼女達が気だるげに溜息をつく姿はたまらなく蠱惑的で、間近で息を吹きかけられれば、それだけで夢見心地な気分になってしまう事だろう。
 曖昧となった理性では、あぶり出される生殖の欲求に抗う意義を見出せず、揺らいで形を失った常識は再び不思議の国の住人のそれとして形を得る。
 目の前の彼女達がそうである様に、求めあう者同士が互いの存在で生殖の欲求を満たす事は当然なのだと、どちらともなく身体を重ねる事となるのである。
 
 既に成体であるが故に「食欲」の薄い彼女達だが、その身体は成体であるが故に生殖に特化され、「性欲」に関してはグリーンワームの無尽蔵の食欲がそのまま置き換わったかの様な貪欲この上ないものである。  
 自分から人間の男性を襲う事は少ないものの、ひとたび男性を煙に巻き、交わりへと誘い込めば、長く弾力のある胴体とそれに備わる無数の脚が抑え込み、夫を陶酔と快楽の中から逃がさない。
 なお、煙草を咥えていない時は口寂しさを覚えるらしく、交わりの最中にはしきりに口づけを求め、それにより吹き込まれる吐息が夫に尽きる事のない生殖の欲求をもたらす。
 男性器を口に咥えての口淫も好んでおり、さながら腹ぺこのグリーンワームの様にしゃぶりついて離さず、美味しいご馳走がいつまでも力を失わない様に愛おし気に吐息を吹きかける事だろう。



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