「な、何よ……!でていきなさいよ!馬鹿!!!」 あたしは男に向かって叫んだ。 「ああ、そうさせてもらう…」 それを聞いた男は、一度あたしを睨み、そして出口を向いた。 「もう、2年になるのにな。 そんなに俺の事が嫌だったのか?」 「ふん!そのとおりよ! あんたみたいな馬鹿、一緒に居るだけで気分が悪かったわ!」 違う、そうじゃない。 「……そうか。わかった。 これまでありがとう。楽しかったよ」 彼はそのままあたしに背を向けたまま、それだけ行ってここから出て行った。 あたしは自分の愚かさにその場で泣き崩れていた。 --------------------------------------------------------------------- 今日も朝がやってきた。気持ちのいい快晴だった。 あたしは店のすぐ近くの井戸で水を汲むと、使い古したボロボロのじょうろで商品の花達に水をあげた。 花達はあたしにとって、嫌な事も忘れさせてくれる天使のような存在だった。 あたしの名前はラウネ。王都の一角に存在する、花屋「ドリアード」の店長だ。 そして、死んだ母から継いだこの店はあたしの宝物だ。 今日をあたしは、緑色とカラフルな花達に囲まれて、葉と同じ色をした緑色のポニーテールを振り乱し、開店の準備に奔走する。 「いらっしゃいませ!」 その日の最初の客はメイドの格好をして、同じ髪の色、そっくりな顔をした二人組みだった。 双子だろうか? 「〜ありますか?」 「ええ、もちろん。プレゼント用ですね?」 明日は誕生祭。 神様の生まれた日らしく、明日は大切な人に花を贈る日となっている。 「はい…。その…ご主人様に」 双子のうちの気の弱そうなほうがはにかんで言う。 「いいねーいいねー!あたしも恋人ほしいなー!」 双子のうちの元気そうなほうがはやし立てる。 「それじゃあ、丁寧に包装しておきますね。どうぞ」 あたしは花をより美しくみえるよう、丁寧に包装し、彼女達に手渡した。 「ありがとうございます……。ご主人様もきっと喜んでくれます」 彼女は嬉しそうに笑うと、あたしの店を去っていった。 彼女の幸せそうな笑顔……彼女は恋人と上手く行っているのだろうな…と、 あたしは彼女を少し羨ましく思った。 次の客は腰に剣を携えた非番の騎士のようだった。 彼は大量に買ったバラの花のうちの一本をあたしに差し出した。 「お嬢さん、貴女の草木のような美しい緑の髪にはこの赤が良くn」 「すみませんが、私は花が恋人ですので」 たまに居るんだこういうの……。面倒臭いので、彼の話をすべて遮ってやって無理矢理追い返してやった。 次にやってきた客は、長旅用のローブに身を包み、彼の相棒の戦斧を背負った男。 この男は知っている。 「何よ。マルタ。今更何しにきたの?」 傭兵マルタ。あたしの元恋人である。 「久しぶりだな…。お前ももう19か」 「そんな事どうでもいいのよ!今更何の用なの!?」 「ただの客さ。明日は誕生祭だろ?」 ぶっきらぼうに叫ぶあたしにひるみもせず、彼はそういった。 「何よ、あんたみたいな汚い傭兵に好きな人なんて居るの?」 「まあな」 「だ、誰よ!言いなさいよ!!」 「お前には関係ないだろ」 彼はあたしの事を見ようともせず、お目当ての花を探し始めた。 そうだ。たしかに関係ない。もうあたしと彼はただの他人なのだ。 「そうね!あんたが誰を好きになろうがあたしには関係ないわ!! お探しの花ならこれよ?さっさと買って帰って頂戴!!」 「相変わらずだな。お前は。ほらよ」 彼はバラの花を受けるとカウンターに小銭を置く。 「じゃあな」 そう言うと、やはり彼はあたしを全く見ずに店から出て行った。 何よ……あいつ……。いや、違う。何をしているんだろうか…あたしは。 その日の閉店間際、最後の客は長い金髪をたなびかせたクレリックの少女だった。 何が楽しいのかやたらニコニコしている。 「いらっしゃいませ」 挨拶はしたが、あたしは心の中では別の事を考えていた。 先ほどの客、傭兵マルタの事だった。 荒っぽく金にがめついイメージのある傭兵だが、彼は違った。 戦いの時はやはり戦闘のプロであり、非常にあらあらしい姿を見せるが、 一度戦斧を手放すと、芸術に通じ、花を愛でる心の優しい男だった。 あたしはそんな彼にいつのまにか惹かれていて、彼もあたしの事を思ってくれていた。 だが………。 ふと、我に返りさきほどやってきた客のほうを見る。 さきほどから彼女は店内の様々な花々をじっくりと見てまわっている。 そして、腕にはいくつかの小さな植木鉢を抱えていた。 彼女もプレゼント用か。と思ったが、彼女の腕にあったのはハエトリソウやウツボカズラなど、 プレゼントには似つかわしくない植物ばかりだった。 彼女は最後にプレゼント用であろうバラの花を手にとるとあたしの元へ駆け寄った。 「これ全部ください。はい、お代です」 あたしはお金を受け取ると、疑問に思った事を口に出してみた。 「ありがとうございます。それにしてもたくさん買うんですね。 これ、どうするんですか?」 「ふふ…少し、クスリの実験を」 クスリ?そういえば、彼女の持っている花は、たまにローブを着た魔法使いが買いにやってくる。 クレリックがそういうものを買っていくのは初めてだが、あたしは納得した。 彼女は店から出る前にあたしに振り返った。 「明日は誕生祭です。神はあなたの事をちゃんと見てくれていますよ。 あなたに幸せが訪れますように……」 クレリックの少女はそう、微笑むと走って行ってしまった。 「誕生祭……あたしには…関係ないわよ」 彼女が見えなくなった後、あたしはため息をついた。 そして店を閉めるために、店をドアにカギをかけた。 店を閉めた後、あたしは花達の様子を見ていた。 何故か今日は、花達が元気のように見える。 色は鮮やかで、もう日の光は差していないというのに堂々と美しい花を咲かせている。 「今日は…異常無しね!」 たまに、花に悪さをする悪ガキが居たり、花が何か悪い病気をもらっていたりする事がある。 あたしは綺麗な宝物に何も無くてほっとした。 安堵したあたしは、花達に背を向けると、寝室のある二階へ上がろうとした。 シュルル…… 「……え?」 突然何かに足を捕まれた。 足元を見ると、右足に植物のツルのようなものが絡み付いていた。 ツルをたどってみると、商品棚にある植木鉢の一つたどり着いた。 あたしは振りほどこうと足を動かしたが… 「な、何なのよ…!ひゃっ!?」 他の植木鉢からもツルが伸び、あたしの左足に巻き付き、あたしはそのまま転んでしまった。 シュルシュル…… それを見計らってか、他からもツルが伸び、あたしの両腕に巻きつき、 四つのツルがあたしを磔のような形に持ち上げる。 「は、離して!やめて!!」 だが、あたしの花達はあたしの言う事を聞く事はなかった。 かわりに特別大きな鉢植えから新たなツルが顔を出す。 「な、何……?これ……?」 あたしは恐怖に顔を歪める。顔を出したツルは、黒く、粘液をまとった。植物といえるようなものではなかった。 黒いツルを歓迎するかのように他の花達が一斉にピンク色の花粉を飛ばす。 あたしは思い切りその花粉を吸ってしまった。くどいほどに甘い香りが鼻腔をくすぐる。 黒いツルは、花達の歓迎を受けたあと、ズルズルをあたしを目指して這って来る。 「や、やだ…!こないでよ!!」 直感がこれから起こる事なんとなくを告げる。体に逃げろと命令を出すが、 四肢をツルに拘束されたあたしは全く動く事が出来なかった。 そうしているうちに黒いツルはあたしのスカートへもぐりこみ、下半身を何かを探すように弄った。 「あぅ……お願い…やめて……!!」 あたしの懇願なんて聞くはずもなく、黒いツルはあたしの下半身の入り口を見つけると…… ずぷぅ…… 「いやぁぁぁぁ!!!」 粘液をまとった黒いツルはあたしを容赦なく突き破った。 秘所から真っ赤な血が流れる。しかし、何故か痛みは感じなかった。 「あ……あぁ……!」 黒いツルはあたしの奥へと侵入すると、何か硬い塊をあたしの中へ放出し、 スルスルとあたしの中から出て行った。 「なんで……なんでこんな事するの……?」 あたしが育ててきた植物達に裏切られたかと思うと、あたしは涙が出てきた。 あたしは、あたしの植物達に問いかけた。 答えの代わりに両腕を拘束するツルがスルリと解けた。 「あ……」 あたしはここぞとばかりに足に絡みつくツタを解こうとしたが、 全く力が入らなかった。そしてそれと同時に、あたしの下半身がとくん、と生き物のように鼓動したような気がした。 「な、何よ……?これ……?」 下半身からあたしの全身へ、何か熱いものが駆け巡る。 熱に浮かされたように体が火照りだす。 さきほどからあたりに漂う甘い花粉のにおいが、あたしの意識をとろんとさせる。 ((スカートを脱いで………)) 「誰……?」 ぼんやりとした頭の中に何者かの声が聞こえる。 ((スカートを脱いで)) 声はそれしか言わない。 「いや……よ…… あ……あぁ………」 あたしが否定の言葉を口にした途端、あたしの体がより熱くなった。 更に、体全体を撫でるようなむず痒い感覚が襲う。 ((スカートを脱いで)) 「………あぁ……あぁぁ……」 何もしないで黙っていると、また体が火照り、先ほどよりも強い感覚が襲う。 そして、体の底が渇くような感覚に襲われ、意識が飛びそうになる。 ((スカートを脱いで)) 「スカートを……脱いで……」 頭の中の声をぼんやりと反復し、スカートの止め具を外してスルスルと脱ぐ。 「あぁ…あぁン!!!」 あたしがスカートを脱いだ途端、下半身から今度はむず痒い感覚ではなく、 強い快感が全身へと伝わった。 「あ…はぁ…や…やン!!」 先ほどまで腕を拘束していたツルが服の隙間へ入り込んで胸に絡みついて乱暴に揉む。 ツル達は突然あたしへの陵辱を中断すると、再び頭の中に声が聞こえてきた。 ((手を秘所に添えて……)) 「手を……秘所に……あぁァン!!」 あたしは逆らわずに右手を自らの下腹部へ添える。 すると、触っただけなのに、ビリビリと強い快感が体中を駆け巡る。 少し体の渇きが満たされたような気がした。だが、まだまだ体は疼いていた。 ((指をいれて……掻き回して……)) ぬぷり…… 渇きを癒したいあたしは、声の通りに指を秘所へと軽く挿入し… 「あぁ……はぁン!あぁ…や…やぁン!!」 ぬぷ…くちゅくちゅ… あたしの下半身へ潜む、何かの指示通りに秘所を掻き回した。 とてつもない快感に襲われ、また少しだけ渇きが満たされたような気がする。 ご褒美とでもいうように、ツルが体中へと伸び、全身を愛撫し始めた。 「はむっ!?」 そのうち一本は、喘ぎ声を上げるあたしへの口へと侵入してきた。 ((なめて……)) 「れろれろ……あむ……ちゅぱちゅぷちゅぴ」 あたしは指示通り、ツルを舐め始めた。それだけでは満足できず、 自らツルを大きく加えこみ一心不乱にしゃぶった。 「はふ……ふぁぁぁぁぁ!!!」 あたしの中のモノが、これまでよりも一層大きな快感を浴びせてくる。 あたしの体はあまりの快感に絶頂に達してしまい。秘所からは愛液…… ではなく、琥珀色のミツのようなものが溢れ出した。 体が渇くの…あぁ…もっと……もっと欲しい。 花達と一緒になって……もっとあたしを……。 とろんと焦点のあわない目で、自らの体を犯す植物達を愛おしそうに眺める。 激しい快感にあわせ、あたしの腰のあたりからツルが現われ伸びていく。 地面へと降りたツルからは巨大なつぼみが咲き、もう指を完全に突きいれたあたしの自慰にあわせ、巨大な花が開いていく。 花の花弁はすっぽりとあたしの体を包み、あたしは花の中のミツの海へ浸かっていた。 あたしは一晩中花の指示通りに、媚薬の海の中で激しい自慰を続けていた。 夜が明けるまで、あたしの体の渇きが完全に満たされる事はなかった。 コンコン くちゅくちゅ…… 朝になり扉の前に誰かがやってきた。それでもあたしの手は自慰を止めなかった。 「は、はぃ………?」 惚ける意識の中から、情けない声を振り絞った。 「ラウネ?起きてるのか?」 突然あたしは我に返った。そう、扉の向こうに居るのは傭兵マルタ。…あたしの想い人だった。 「だ、だめ……!」 「どうした?大丈夫か!?」 ドンドン! 必死に言葉を振り絞った。彼は何か異常事態だと感じたようで、扉を開けようと必死になっている。すると、カチャ。と鍵の開く音がした。 ラウネの腰から生えるツルのうちの一本が彼女の意志に逆らい、鍵を開けた。 ギィィィ…バタン 「ラウネ……?」 扉を開けて彼が入ってきた。入ってきた後は、同じツルがご丁寧に扉を閉めて、再び鍵をかける。 「や……みないで……!!」 彼はあたしを見て呆然と立ち尽くす。 下半身に何もまとっていないあたしは、先ほどまで自慰のために開いていた足を閉じ、秘所を隠そうとする。 ((足を開いて……)) 花から声が聞こえる。 「な、何よ!あんた!勝手に入らないでよ!!見ないで!! 早く出て行ってよっ!!!」 あたしは真っ赤になり、涙声で彼に訴える。 ((来て……)) 「来て……」 だが、次の瞬間あたしは妖艶に微笑み、マルタに見せ付けるように、足を開いていた。 「ラウネ……ラウネ!どうしたんだ!」 おかしくなってしまったあたしに驚く彼を、あたしのツルがまきつき、あたしの花弁の中へと引き寄せる。 混乱したあたしは、彼に向かって叫ぶ。 「あっち行ってよ!! マルタ!!あんたなんか……あんたなんか……!!」 ((大好き)) 「大好き♪」 あたしはにっこりと微笑み、彼の唇に自分の唇を重ねた。 「はむ…ちゅ…ちゅ……」 彼の中へスルリと舌を突き入れ、欲望のままに口内を蹂躙した。 そして、彼の口の中へ、アタシの甘いミツをたっぷりと注ぎ込んだ。 同時にツル達が彼の服や武器を次々と剥がしてゆき、全裸になった彼はあたしの浸かる媚薬の海へと浸けられた。 「ラウネ………どうしたんだよ?」 あたしの口のミツと花のミツ……二つの媚薬で意識の朦朧としはじめた彼があたしに聞く。 「ち、違うわよ!!!全部…全部この花のせいで……」 ((あたし、ずっとこうしたかったの……)) 「あたし、ずっとこうしたかったの……」 たしかにそうだ。あたしはずっと彼とこうしたかった。 ((マルタもあたしとシたかったでしょ……?)) 「マルタもあたしとシたかったでしょ……?」 それなのに、二年間付き合っていた、あたしと彼が身体を重ねる事は一度も無かった。 ((うふふ……あたしの事好きにしていいのよ?)) 「うふふ……あたしの事好きにしていいのよ?」 あたしが極度の恥ずかしがり屋だからだった。あたしは彼にすぐ怒鳴った。 彼が優しくしてくれた時も、助けてくれた時も、いつも恥ずかしさを隠すために怒鳴った。 そして…… ((ねえ……来て)) 「ねえ……来て」 彼はあたしに嫌われたと思い、あたしの前から去って行った。 「いいのか………?」 あたしがあっさりと堕ちた花達のミツに逆らい、彼が言葉を紡ぐ。 「お前は俺の事、好きじゃないだろ……?」 彼は媚薬や快感には負けなかった。彼は優しかった。 それは違う。そう、言わないと…… 花は、何も言わなかった。 あたしは、何も言えなかった。 あたしの身体の渇きが進む以外、何事も無く時間が過ぎて行った。 なんで…なんで? 早く……あたしに命令してよ!指示を出してよ!早く…早くしないと… また彼が消えてしまう。あたしの前から居なくなってしまう。 いやよ…早く何か言ってよ…!いやよ… 「いやぁ!!!」 「ラ、ラウネ……?」 突然声が出た。一度出た声はとどまらず、あたしの口は次々と続きの言葉を吐き出しいく。 「違うの!あたし、あんたが大好きなの!!」 「素直になれなかっただけなの、ずっとずっとあんたと居たかったの!!!」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!!行かないで…あたしと一緒に居て……!」 「誕生祭に花を贈った子の所になんて行かないで………!!!」 「ラウネ………」 彼があたしの言葉を遮った。 「あれはお前に送る花だ………」 「え………?」 「もう一度……俺とやり直してくれるか?………」 どっと、涙が溢れて来た。自分はなんて勝手だったんだろう。 彼はずっとあたしを愛してくれていた。なのに自分は………。 これから、ずっと彼に尽くそう。彼の物になろう。 ちゃんと素直になろう……心も身体も。 「ねえ……一つになろう?あたしと繋がろう……? もう、我慢出来ないの……」 媚薬に頭を支配された彼が、こくりと一つ頷いた。 彼を媚薬の海に寝かせると、大きくそそり立つ彼のソレに、それを求めるあたしの秘所をゆっくりと降ろした。 ずぷずぷ…… 「はぁン…マルタのが……奥まで……あぁン!!」 これまで比べ物にならない充実感があたしの中を満たす。 ((いただきます…♪)) 「いただきます…♪」 妖花アルラウネとなった、あたしの食事が始まった。 すっかりミツに浸った腰を、それを潤滑油に激しく振り回す。 ぐちゅぐちゅずぷぢゅぷ…… 「あン!やぁ…いい…気持ちいい…ぁ…あぁァン♪」 あたしは貧欲に快感を貪る。激しい快感があたしを遅い、 更に強い快感を求めて、どんどん腰の動きを加速させる。 「ぁ…もっと…もっとぉ…… 大好きなマルタの欲しいのぉ……はぁン!」 「あぁ…大好き…あン…やぁぁン!大好きぃぃ……♪」 これまで素直になれなかったあたしは、その反動かそればかりを口にする。 「ラウネ……もう……!」 「いいよぅ……来て……マルタの欲しいの……!」 次の瞬間、かすかなうめきをあげたマルタのモノから白い液体があたしの中に注ぎ込まれた。 「あ……あぁぁァン!!!」 おいしい……。気持ちよくて美味しくて……気が変になってしまいそうだった。 「マルタぁ……よかったよぉ……」 あたしはマルタに頬を摺り寄せる。 身体を満足感ととてつもない幸せが満たす。 ふと気づくと、身体の渇きも収まっていた。 「ねぇ、マルタぁ……」 アルラウネの空腹は満たされたが…… 「もっともっと気持ちよくなろ……? いっぱいいっぱいえっちしよ……?」 再びあたしはマルタに覆いかぶさった。 アルラウネの空腹は満たされても、何年も彼と離れていたあたしの心はまだまだ満たされてはいなかった。 ----------------------------------------------------------------- それから、花があたしに命令してくる事はなかった。 今は彼と一緒に変わらず花屋を営んでいる。だが、あたしは変わった。 アルラウネとなったあたしの身体はすぐ渇いてくる。これまでのあたしと違い、 今のあたしはここで意地を張ったりしない。 「ね、マルタぁ……欲しくなっちゃったぁ…♪」 客が引いた隙を見計らい、マルタに擦り寄り。腕を絡めて口付けをする。 そして彼の口内に唇を入れ、唾液を啜る。とても甘美な味がする。もちろんあたしのミツを注ぎ込む事も忘れない。 すると、彼もあたしの秘所や胸を弄ってくれる。 お互い、この場で相手を押し倒したくなるが、ここは我慢する。 何度も何度もこれを繰り返し、夕闇が迫ってくる。 あたしが店の扉の鍵を閉めると、後ろから彼の声がかかる。 「ラウネ……俺、もう…」 「だぁめ♪ちゃんとベッドに行ってから……やぁん♪」 あたしはその場で押し倒された。あたしには拒否する理由が無い。 彼とこうしたいのだから、これが幸せなのだから。 アルラウネは彼が居ないと美しく咲けないのだ。 そうそう、最近新製品を扱う事になったの。 「アルラウネ」って品種なのよ。育てば綺麗な花を咲かせるの。 後、騙されたと思って聞いてね。恋が適うおまじないがかかってるのよ。ふふ…。 うふふふ………。