キャンドルガイスト

・ゴーレム属 ・魔法物質型

○生息地…夜間の街道、古びた建造物など
○気性……献身的、感情表現に乏しい
○食糧……人間の男性の精

○燃え尽きた無数の蝋燭が魔力により一つとなり、魔物として形を成したもの。
 夜の街道や光の射さない古い建造物といった暗い場所を通る人間の男性の前に、揺らめく炎と共に現れる。
 暗闇に突如として浮かび上がるその姿と何も言わず無表情でじっと見つめてくるその様子から恐れられがちではあるものの、出会ったその場で襲われるわけではない。
 それどころか彼女達は出会った男性に従者のごとく付き従い、その身に灯す炎で視界の先や足元を明るく照らすと共に、行く先の障害や危険を排除し、無事に暗闇から抜けるまで先導してくれるのだという。
 魔物となった後も蝋燭としての役割を果たそうとする献身性を見せるが、その一方で無数の蝋燭の暗い情念より生まれた魔物であるが故の極めて扱いづらい気質も併せ持つとされ、もしも意図的に彼女達を利用できると考える者がいるのであれば、それは大きな間違いである。

 彼女達は元が燃え尽きた蝋燭であるが故か、かつて果たせなかった望みである「いつまでも主人の役に立ち続けること」に強く執着すると共に「役目を終えて使い捨てられること」を強く恐れている。 
 男性を無事に明るい場所に送り届けると、自身が役に立てたかどうかを問い、今後も自分を使い続ける事を約束させようとする。
 その際の問いに好意的に答え、彼女達の望み通り今後を約束すると、晴れて男性は彼女達に主人として認識される事となる。
 炎を灯し続けるために精を必要とするため、主人はしばしば交わりを求められるものの、主人の役に立つ事を第一に考え行動する極めて忠実な従者として行く先々を安全に照らしてくれるだろう。
 一方、問いに否定的に答えた場合の彼女達は半ば恐慌状態に陥り、自らが役に立つ存在であることを示そうとする。
 即ち蝋燭の頃は持ちえなかった力を誇示する事であり、自らの存在が男性を容易く溺れさせる魔性の快楽をもたらし続けるという事を、その肉体と淫らな奉仕により理解させようとするのである。 
 男性が快楽の虜となるまで有無を言わさず奉仕を注ぐその姿はまさに魔物そのものであり、加えてそれは男性が心の底より魅了される事によって彼女達が心の底より安心できる様になるまで続く事だろう。

 なお、彼女達の感情は揺らめく炎の様に不安定で、しばしば感情に任せて強引な奉仕を行う事がある。
 主人の役に立てていない状態では落ち着かないらしく、蝋燭としての役割をこなせている暗い場所では比較的落ち着いているものの、
明るい場所では主人を気持ち良くできていない瞬間が許せないといわんばかりの過剰なまでの奉仕を行いがちである。
 また、精が不足して灯す炎が小さくなると不安を覚え、主人に必要にされようと奉仕を行いたがる様になり、
 逆に大量の精を注がれ炎が大きくなっている場合は満たされた状態ではあるものの、自らを満たす主人への極度の感謝と情愛からその献身の欲求と淫らな奉仕が苛烈さを増す。
 この様なほの暗く苛烈な感情を抱きながらも彼女達は変わらず物静かで、その感情は無表情に隠されている。実際に奉仕が行われる瞬間まで、主人であってもその感情の変化に気づくことは難しいだろう。
 ただし、欲望のまま奉仕を行い、主人の役に立ち続けるという望みを叶えて満たされる彼女達のこの上なく幸せな感情だけは、主人と交わる際にのみ、その表情が無表情から熱っぽくとろける様に変化する様子で簡単に窺い知る事ができる。 



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