キューピッド
・天使属 ・天使型
○生息地…天界、人里
○気性……冷静、献身的、穏やか
○食糧……人間の男性の愛
○愛の女神「エロス」に仕える中位天使。心優しく物静かな性格で、男女が結ばれて幸せになる姿をこよなく愛し、女神の名の下に結ばれるべき恋人達に、枯れる事無き不滅の愛と愛を貫くための力をもたらす。
黄金の「愛の矢」は、射られた者の愛情を膨れ上がらせる力を持つ。本人さえ気づいていなかった感情をも表出させ、淡い恋心は深い愛情となり、自身がどれ程相手を愛しているかを自覚させる。素直になれず、すれ違いで結ばれずにいる二人であっても愛の矢で射られれば、たちまち甘い空気を纏い、互いの愛を包み隠さず言葉と肌で伝え合う様になる。
一方、黒い「鉛の矢」は、射られた者の愛を枯渇させる。深い喪失感に襲われ、他者からの愛を強く求める様になり、いかに愛に気付かぬ鈍感な者や、愛する者を省みない傲慢な者も、自身に向けられる愛に気付きその有難さを身に染みて認識せざるを得なくなる。
この二種類の矢を用いて恋人達の誕生を促すのだが、時として人間同士のみならず、人間と魔物をも結び付けてしまう。矢によって膨れ上がる「愛」には、生物のオスとメスの根底に存在する、性交により愛する者と快楽を交わし、子を成したいという「愛欲」も含まれている。
そして、魔物は男性に愛欲を抱かせる事に特化され、その身をもって男性を快楽で満たそうとする強い愛欲を抱く存在である。それ故に愛の矢で射られた男性は男ならば自然と魔物に抱いてしまう愛欲が膨れ上がり、魔物と交わりたがる自身の中のオスを自覚してしまい、鉛の矢で射られた男性は、魔物から際限無く向けられる愛欲を求め、嬉々として受け入れてしまう。
彼女達がもたらす愛の力は女神の眷属の中でも特に強く、神を人間との恋に落とした等の様々な逸話も伝えられている。それ故に彼女達の狙う相手は過酷な運命や悲劇に阻まれ、多少愛を煽った程度では結ばれる事の難しい男女である事が多い。そのためか、矢を受けた結果、愛する者と結ばれるために自ら魔物になる事を選ぶ女性も少なくないのだとか。
彼女達自身もまた愛に満ちた天使であり、人間の男性と接するうちに恋に落ちる者が多い。「フーリー」にも比肩する深い愛を持つが、愛の大きさに比べて言葉での愛情表現が得意ではなく、想いを伝えるために自身の持つ愛情を矢に込め男性へと放つ。この矢は込められた愛と想いを 余すことなく直接心へと伝える事ができる恋文の様なもので、言葉を介さない彼女達なりの告白である。
しかし、中々愛を伝える事ができず、自身の中に溜め込みすぎた個体の矢は、時としてその想いの大きさに男性の心が同調し、男性に恍惚状態をもたらしたり、強い興奮と愛欲が呼び起こされ、暴走した男性は彼女達を襲い交わる事になってしまう。
また、彼女達は魔物も含め多くの恋人達が愛し合う姿を見ているためか 極めて大きな愛欲を抱えており、一度夫と結ばれれば、甘い空気を纏い、静かに自身の肌を重ねてくる様になるだろう。
なお、彼女達にも魔物化した個体が存在するものの、やはりあまり区別はされないそうだ。
|