ケルピー
・ケンタウロス属 ・獣人型

○生息地…湖
○気性……意地悪
○食糧……肉食。魚介類など

○珍しい水棲ケンタウロスの一種であり、馬の下半身から魚の様なヒレのある尻尾が生えている。
 透き通る水に例えられる美しい姿で知られ、その姿に相応しい美しい景色の中にある綺麗な水を湛える湖にのみ生息するとされる。
 彼女達は人間に対し友好的で、湖のほとりで出会うことがあれば穏やかで控えめな笑顔を向けてくれる。
 その姿や佇まいは穢れをしらない清純さと無垢さを感じさせ、言葉を交わしても同様の印象を覚える事だろう。
 それ故に知識を事前に持っていないのであれば、その本性を看破する事は難しい。

 彼女達は人間の男性との交流の機会を得ると、基本的には襲う様子も見せず、穏やかに会話などで親愛を深めようとする。
そうしてある程度、男性と仲を深めると、彼女達は身体を寄せて自らを腕の中に抱く様に仕向けたり、背中に乗せることを提案するという。
 彼女達には接した人間を安心させる不思議な力があり、その力は肉体同士の接触に応じて強まる。最もその力が発揮される互いが密着しあった状態では、気が緩みきり、身体もすっかり脱力してしまう程の極度の安心感がもたらされる事となる。
 すなわち彼女達の誘いにのってその身体を抱いてしまえば、彼女達を深く抱いて離せなくなり、背中に跨ってしまえば、身体を前に倒してくっついてしまう程に彼女達に身を委ねてしまう。
 すると彼女達は突然、抱き合ったまま、背に乗せたまま、男性ごと湖の中へと潜りはじめる。
 そうなってから驚いても既に遅く、彼女達と触れあっている状態であれば水の中でも呼吸ができるため溺れることはないものの、
 身体には力が入らず抵抗する気力も起きず、その上、当然ながら水の中で人間は自由に動くことはできない。
 一方で水中を駆ける様に自在に泳ぐ彼女達が、水に誘われた哀れな獲物を一方的に犯してしまう事となるのである。
 その交わりは乱暴で激しいものではなく、水の様に穏やかで優しいものであり、腰を緩やかに揺らす姿も、細やかな指先を絡めて撫でまわす仕草も、どこか優雅さすら感じさせる。
 だが、それにより与えられる快楽は流れる水の様にとめどなく注がれ、獲物を容赦なく射精させる。
 快楽に喘ぐ獲物を前に水の中で彼女達が浮かべる表情は、地上で見た穏やかな笑顔ではなく、瞳を愛欲にどろりと濁らせ、獲物を嘗め回す様に眺めるいやらしい笑みとなっている事だろう。
 この様に意地の悪い魔物ではあるものの、獲物を苦しめ、いたぶる様な趣味があるわけではない。
 彼女達はただただ、愛する夫が快楽によって情けなさを晒す様子が好きなのだ。声にならない声をあげて涎を垂らす、とても他人には見せられない様な顔など、彼女達が何よりも好むものだろう。

 彼女達は自らの愛欲に従い、なるべく夫を快楽に浸していようとする。
積極的に交わるのはもちろんのこと、時にはおもむろに指先を絡め、時には口で咥えて奉仕を行う。それら全ては夫が気持ち良くなる事を何よりも優先するものであり、彼女達自身の欲望を満たすための行為にも関わらず、はたから見れば献身的にすら見える事だろう。
 なお勘違いしてはならないのは、彼女達は水中でのみ本性を表すというわけではない。
 彼女達は夫の真面目な表情が情けないものに変わる瞬間も愛しており、夫婦となり共に地上で過ごす中で突然唇を奪ってきたり、身体に手を這わせてきたりというのはよくある事なのだ。 




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