クランプス
・バフォメット属 ・魔獣型

○生息地…雪原地帯・雪山
○気性……凶暴、献身的
○食糧……肉食、野生動物など。

○雪深い土地に生息する、恐ろしげな姿をした黒い獣人。
 普段は人気のない雪山の奥地でひっそり暮らしているが、冬の時期の「特別な日」が近づくにつれ活動を活発化させ、人間の男性を求めて雪山以外の場所にも現れる様になる。
 それ故に獲物の男性が彼女達と出会うのは雪山ではなく、雪山から遠く離れた街中であったり、獲物の家に突然現れるといった場合がほとんどである。
 
 気性は見た目通り凶暴で言動や行動も荒々しく、強靭な体躯で獲物を組み伏せ蹂躙する。
 一方で思慮深く狡猾で、獲物となる男性を定めてもすぐには襲わず、やがて訪れる「特別な日」に必ず獲物を手に入れるべく、入念に準備を整え待ち続けるという。
 それ故に獲物を前にしたクランプスは総じて発情しきっており、彼女達と交われば獲物が獣に喰らい尽くされるがごとく、暴力的なまでの快楽を与えられ容赦なく精を搾り取られる事となるだろう。
 だが、実のところ彼女達を突き動かす獣欲の根源は、好意を抱いた男性に対しての強すぎる「奉仕欲」である。
 その凶暴さからは想像できないかもしれないが、彼女達は夫に付き従い支える事を悦びとする極めて献身的な種族で、夫となるべき男性を見つけると、その男性に対して強い奉仕の欲求を抱き、ひたすらにそれを募らせながら結ばれるべき「特別な日」の訪れを待つ。
 やがて待ち侘びた獲物を前にした彼女達が、日増しに高まり続けてきた奉仕欲を抑えられるはずもなく、その衝動のままに献身を捧げるべく男性に襲い掛かるのだ。
 即ち、彼女達の凶暴性は、夫を愛し、尽くしたいと考える程に高まっていく。
結果、夫の性欲を満たし、愉しんで貰う事を意図して行われる口での奉仕は、下半身に齧り付いて男性器を貪る獣の食事となり、夫に身体と貞操を捧げ、子を孕ませて貰うために行う交わりは、馬乗りで乱暴に腰を打ち付けつがいを犯す、発情した獣の交尾となる。
 この様に乱暴に与えられるものでありながらも、これらの行動が「奉仕」である事に変わりはなく、貪られているかの様な光景とは裏腹に、獲物は甘く心地よい快楽と射精に、身も心も抗う事ができなくなってしまうのである。

 なお「特別な日」とは、自身の肉体や魂の全てを夫に捧げるに相応しい日であるとして、彼女達自身が定めた日にちの事である。
 多くの場合、獲物となる男性の誕生日といった獲物にとっての特別な日や、冬の時期に訪れる主神祭などの多くの人々にとって重要な祝祭日などが選ばれている。
 彼女達はその日に向け様々な準備を行う。それは彼女達が夫の元へと嫁ぐ準備のみならず、夫を自らの住処に迎え入れる準備という場合もあり、冬になると時折、獲物を袋の中に詰め込み担いで連れ去るクランプスの姿が見られる。
 連れ去られた獲物には、もれなく暖かい部屋の中、彼女達が用意した豪華な料理と、暴力的なまでの快楽による歓待が待っている事だろう。
 
 また、彼女達の献身の強引さは性行為だけに限ったものではない。例えば、善人とは言い難い男性がクランプスに連れ去られ、数年後にようやく戻ってきたかと思えば、その間に一体何があったのか、男性はすっかり立派な人格者となり、傍には連れ去ったクランプスが妻として連れ添っていた、という様な話がいくつも残されている。
 そのため、クランプスは地方によっては「冬の祝祭日に悪い子に罰を与えにくる怪物」として伝えられる存在となっている。



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