マレフドラゴン ・ドラゴン属 ・爬虫類型
○生息地…塔、古城
○気性……高慢、好色
○食糧……肉食。野生動物など
暗黒の鱗を持ち、闇色の炎を吐くドラゴンの一種。古き時代に「魔王」と称された魔物のうちの一体、邪悪なる竜王の末裔が彼女達であり、「邪竜」とも呼ばれる。
原種と異なり、人間に抱く繁殖欲求は竜の在るべき衝動だとして肯定的で、一方で原種に輪をかけて高慢な彼女達にとって、人間とは万物の霊長である竜を繁殖させるために存在する生物に他ならない。
邪悪で退廃的な美貌は畏怖と共に彼女達への邪な感情を抱かせ、繁殖のためのつがいとして選ばれた者の多くは、そんな彼女達の寵愛を受ける事を喜ばしく感じてしまう。
邪竜の魂は人間への邪な欲望に染まりきっている。男性に好意を抱けば、その心は邪竜であるが故に「愛する者を身も心も我が物とする」事を望む感情に支配され、それは男性への想いが大きくなる程に強まっていく。
仮に彼女達が衝動のまま獲物に襲い掛かれば、それは快楽による一方的な蹂躙となり、容易く男性を屈服させ繁殖の虜にすることができるだろう。にも関わらず、彼女達は自らの邪な欲望をより理想的な形で満たすべく、より迂遠な方法を好む傾向がある。
例えばその知性と狡猾さをもって獲物の欲望を巧みに煽り、従えばそれを叶えてやろうと甘言を弄したり、例えば自らの肢体すらも用いる淫魔然とした振舞いで心を掌握し、獲物を繁殖の悦びと快楽に狂わせたり……。
邪竜達はこういった手段により獲物に堕落の道を歩ませ、自ら望んで邪竜のモノとなる様に仕向けるのだ。
この様に凶悪な魔物である一方、圧倒的な強者故か非常に大らかな性格でもある。
彼女達のつがいの多くは繁殖の虜となっており、彼らは邪竜の一挙手一投足により容易く我を忘れ、縋りつき乳房に顔を押し付けてしまうといった行動をとってしまいがちである。
だが、彼女達はつがいのそういった無作法を心底可愛いと認識している様で、その身をもって自身へと向けられた繁殖の欲求を肯定するのだという。
また邪竜はつがいに常軌を逸した愛執を向け溺愛する事でも知られ、基本的に大らかな一方、没頭するつがいとの繁殖を邪魔をする者、特につがいに対して害意を向けた者を決して許さず、執拗に敵意を向け続ける。
その執拗さは、とある王国の勇者が邪竜の討伐に赴き彼女達のつがいに槍を向けたため、王国ごと魔界に堕ちる事となった記録も残されている程である。
竜の血は人間に力を与えるとされているが、邪竜の血は力を与えると共に魂と心を邪悪に染め、邪竜の眷属へと変える恐るべきものである。
男性であれば邪竜への異常なまでの繁殖欲求に苛まれ、人間の女性であれば邪な魂と欲望を宿す「ドラゴニュート」へと変わり、邪竜が繁殖する世のための尖兵となってしまう。その際、資質次第で新たな邪竜が誕生する事もある。
加えて、邪竜の血は原種のドラゴンの血すらも穢して邪竜へと変えてしまう。
つがいに手を出さなければ敵にすら寛大な彼女達だが、自身と同じ竜属の魔物に対しては強い攻撃性を向ける事があり、特に獲物を定めておきながら一向に繁殖に至らない竜を忌み嫌う様子を見せ、邪竜に堕とすべくつけ狙う。
彼女達にとって、人間は竜の繁殖のために存在し、すべての竜は愛した男性の仔を孕むべきである。
竜を堕とす行為も竜属の本性を暴いているだけに過ぎず、人と竜のあるべき姿の障害となるものは国家であれ、己の本性を誤魔化す竜達であれ、すべて唾棄すべき存在なのである。
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