ショゴス

・スライム属 ・半液状生物型

○生息地…洞窟、地下、人里
○気性……献身的、好色
○食糧……人間の男性の精液、汗や唾液など

○不定形の身体を持つ粘液状の魔物。
 はるか昔、混沌の魔物達により奉仕種族として生み出されたが、現在の魔王へと代替わりした事で知能と感情を手に入れ、かつての主の元から逃げ出したのだとされている。

 従順かつ物静かな性格で人間を襲う事は無い。
 現在でも新たな主人を求めて気に入った男性や、彼女達を使役する事を望む者の元へと現れ、献身的に仕えるという。
 彼女達は身体の細胞を変化させる事で、ありとあらゆる器官を作り出す。必要に応じた道具を自身の身体から用意できるため、その身一つさえあれば主人の身の回りの世話を不足無く行える。
 何より主人が快適に過ごせる事を優先し、静かに尽くす姿はまさに理想の使用人であり、魔物らしからぬ貞潔さをも感じさせる。
 だがその実、彼女達の不定形の身体は全てが性感帯で、主人との接触を伴う器官には特に性感が集中している。主人の身体を拭くタオルは、自身の肢体による愛撫でもあり、料理と共にスプーンを主人の口に運べば、舌と唾液が絡みつく口付けの様な行為となる。
 彼女達にとって奉仕とは交わりにも等しく、愛する男性に奉仕する精神的な充足のみならず、尽くせば尽くす程に肉体的な快楽が彼女達を満たす事となる。
 その様な快楽の中にありながらも彼女達の仕事ぶりが乱れる事は無く、静かに平然と主人への奉仕を続けるだろう。だが、その瞳の奥には、たしかな狂気のごとき恍惚が垣間見えるのだ。
 彼女達の狂気は、主人が常に彼女達の身体と奉仕の中に存在する事で、主人と一つになったかの様に過ごす事を望んでいる。
 主人の命令には忠実だが、奉仕を拒否する事だけは一切聞き入れず、既存の道具を使う事を嫌がり、やがては椅子やベッドまでをも自身の身体から作り、主人に使って貰おうとするだろう。
 そうして、彼女達の奉仕を受け続けた者の肉体には、ある変化が現れる。見た目に変化は無いが、例え剣で斬られようと、まるでスライムになったかの様に何事も無く剣が身体を通り抜けたり、彼女達の身体を用いた奉仕を受けると接触した箇所が彼女達の身体と混ざり合うかの様な感覚と、交わりのごとき快楽を覚える様になる。一度その快楽を知れば、常態的に彼女達の奉仕を求める様になり、より深く混ざり合えるであろう性交を主人から望む事となるだろう。
 彼女達との交わりは、まるで接合した互いの生殖器が溶けて一つとなったかの様に互いの境界線が曖昧となり、どちらが動いているのか、どちらが感じている快感なのかすら判らなくなる程の快楽をもたらす。
 交わる事で彼女達の狂気に触れた主人は、彼女達と同じ様に二人で一つになる事を望み、彼女達と混ざり交わり合う生活を送る様になる。

 男性と常に一つになる事を望む彼女達の生態は、創造主である混沌の魔物達が夫と交わる姿を不完全ながら模倣したものではないかとされている。かつての主の元から逃げ出したのも、使役される事による不満からではなく、混沌の魔物達が夫と一つとなる姿を羨ましく思い、自身も夫が欲しいと望んだからなのではないかといわれている。

図鑑TOPへ

この文章の許可の無い転載、再発行を禁止します。
No reproduction or republication without written permission.