ヴァンプモスキート

・フライ属 ・昆虫型

○生息地…森林、水辺、湿地帯
○気性……意地悪
○食糧……花の蜜など 人間の男性の血液

○人間に噛みついて血液を吸う事から、「昆虫界の吸血鬼」として知られている昆虫型の魔物。
 狡猾で周到な性格で、獲物となる人間の男性を見つけると、しばらくの間は周囲を飛び回り、確実に仕留める事ができる瞬間を狙って襲いかかる。
 飛行の際には特徴的な羽音を響かせ、耳にした者の心を乱し、自身の存在を認識させる一方で、集中力を失わせて注意力を散漫にさせる。
 そのため、狙われた男性は、気付いた時には既に彼女達に抱きすくめられ、血を啜られてしまう事となるのだ。
 
 彼女達の普段の主食は花の蜜であり、男性の血液を好むものの、無差別に吸うというわけではなく、主に男性と交尾をする際に吸血を行う。
 血液は産卵のための栄養として使われるだけではなく、あらかじめ血液に含まれる精と血の情報を得る事で、それを元に自身の子宮を、その精と血を受け入れやすいものへと整える。
 すなわち、今から夫となる男性の子を孕みやすくし、夫の血を受け継ぐ子を育てるのに適した、より良い母体となるべく吸血を行うのである。
 つまるところ、彼女達が血を吸うという事は一種のマーキングの様なものであり、血液だけではなく、番いにするべくその男性自身をも狙っているという事なのだ。
 また、吸血の際には毒性のある唾液を男性へと注入する。
 毒により、血を吸われた箇所はむずむずと熱を持ち、快楽を求めて疼く様になり、男性自身が何をしようとも快楽は得られず、疼きが治まる事はない。
 この吸血痕は血を吸った彼女達に対してのみ、まるで性感帯になったかのごとき反応を返す様になり、疼きを治める事ができるのは、彼女達が吸血痕に触れたり、舌を這わせたり、再び血を吸う事でもたらされる、まるで男性器が弄られているかの様な快楽のみなのである。
 この様に、ひとたび血を吸われてしまえば彼女達の元から逃げ出そうとも、男性は彼女達を求めて疼く吸血痕に悩まされる事となる。彼女達がそんな男性を逃がすはずもなく、周囲を執拗に飛び回り、犯し、交わる機会を伺っている事だろう。
 彼女達は交わりの際にも吸血を行い、性感帯となり、自身の伴侶としての証でもある吸血痕を増やし、夫の身体にもたらす疼きと快楽を高めていく。
 それに加え、血を吸う度に彼女達の子宮は夫の精を欲しがり、より気持ち良く淫らな吸精器官となって男性器に吸い付き、精を啜る事だろう。

 なお、「昆虫界の吸血鬼」という別名だが、本家「吸血鬼」である「ヴァンパイア」達は不満に思っているらしく、あるヴァンパイアは「吸血鬼の名を冠するならば魔族である事の誇りを持ち、安易に人間の子を宿すべきではない」という言葉を述べている。
 だが、この呼称自体、人間が呼び始めたものであり、当の彼女達自身は、夫の子を孕む為の交わりに忙しく、この件自体にまるで関心が無い様だ。


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