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アバドン  ・アバドン属 ・昆虫型
 
 生息地  荒野
 気性  冷静、感情表現に乏しい
 食糧  雑食、なんでも食べる。

 古の時代に無尽蔵の食欲と繁殖力を武器に世界を喰らい尽くす寸前であったという、魔王蟲「アバドンクイーン」に産み落とされた娘たち。
長らくの間、当時の勇者の手で駆逐された種族であるとされていたが、「終焉のラッパ」の音色と共に大地の裂け目から無数のアバドンが現れたことで、実際には完全に滅びたわけではなく地底深くに封印され休眠状態にあったと判明した。



 強靭かつ大柄な体躯を持ち、その威容は飛行する際の羽音だけで空を震わせる。体躯に見合わぬ高い飛翔能力で一瞬のうちに獲物の元に飛来し、甲殻に覆われた四本二対の腕で抱き込む様に捕獲する。
 かつてはその巨体を維持するために常に捕食し続けなければならなかった様で、その名残からか獲物となった人間の男性は尋常ではない食欲と繁殖欲のままに蹂躙される事となるだろう。
 アバドンは群れを作る魔物であり、更にはそれぞれのアバドンが無数の「兵蟲」を従えている。その群れは時として空を埋め尽くす程に巨大なものとなるという。
 彼女達の身体からは常に溢れる程のフェロモンが放たれている。これは男性の生殖本能を強く刺激するのみならず、群れを統率するためにも使われており、加えて兵蟲達を活性化させ、その肉体と精神を繁殖に特化した状態へと変える。
 フェロモンにより統率された群れはまるで空に蠢く一つの巨大な塊の様になり、獲物となる大量の人間の男性を求めて村や街に飛来し、ただひたすらに食事と繁殖を繰り返す。
 群れの規模によっては村や街どころか中規模程度の国であれば容易く食らい尽され、アバドンの群れに襲われた土地には魔物の餌食となっていない男性は一人として残らないのだとされている。
 現在、彼女達に世界が喰らい尽くされていないのは、彼女達もまた魔物であるが故に全ての個体それぞれが、唯一たった一人の男性のみを生涯をかけて喰らうからに他ならない。



 その姿や獲物をがっしりと抱き込み力任せに腰をぶつける交わりの様子から凶暴で攻撃的な気質だと思われがちだが、
実際に接すると、彼女達が捕らえた獲物に対して攻撃的に振る舞ったり、高圧的な言動をとることはなく、それどころか物静かでどこかぼんやりしている印象すら受ける。
 彼女達の根底にあるのは本能に根差した無尽蔵の食欲および、現在の姿となった際にそれと結びつき同一化した繁殖欲と愛欲である。
そのため常にムラムラしており、夫を前にすれば即座に繁殖を行う程の攻撃的なまでの愛欲を抱いているのはたしかである。
 だが、その愛欲および繁殖欲は、その時々や感情によって熱したり冷めたり、昂ったり収まったり、といった性質のものではない。
 かつてのアバドンは生命を維持するため「捕食し続ける」生態を持っていた。現在の彼女達も同様の生態……つまり夫を「捕食し続ける」生態を持つわけだが、彼女達にはそれを可能とするための「常に高いまま維持され、決して治まる事のない繁殖欲」が標準的なものとして備わっている。
 即ち、彼女達の食らい尽さんばかりの繁殖行動は、彼女達にとっては我々が呼吸を行うかのごとく平然と行われるもので、
それをしたくなるのも、するのも、特段に興奮も飢えもしていない「平静な精神状態」における当然の欲求、当然の行為である。
 そのため交わりは苛烈な一方でその気質に凶暴性は無く、腕の中に抱き込んだ夫へと向ける細めた瞳にはむしろ穏やかなものすら感じられる。
 なお、その特殊な精神構造故に、交わる事で満足し繁殖の欲求が一時的に収まる……といった事は当然ながら、無い。



 【魔王蟲アバドンクイーン】
 かつての時代。魔物が怪物の姿であった長い歴史に名を残している「魔王」のうちの一体。
魔王蟲が無限に産み落とし続ける「アバドン」は巨大な蝗の怪物であり、魔王蟲の時代は空を覆い尽くすアバドンの群れが草木も動物も人間も、世界まるごとを食らい尽さんばかりだったという。
 現代の魔物と比べて古の時代の魔物は自我や感情が希薄であったとされるが、魔王蟲とその眷属はことさらであり、個体の自我や感情といったものが一切見られず、種の本能に従ってただひたすらに喰らい、個体数を増やし続けることだけを目的として世界に災厄をもたらした。

 当時の勇者が種族ごと根絶やしにしたと伝えられていたが、近年「終焉のラッパ」の音色と共に地底深くよりアバドン達が溢れ出し、完全に滅びたわけではなく地底の奥深くに封印され休眠状態にあったことが発覚した。
 眷属である「アバドン」や「アバドンフォーク」の姿は確認されているものの「アバドンクイーン」の姿を見た者はおらず、現代にも存在するのかは定かではない。
しかしながら、現在も地底へと続く大地の裂け目から時折アバドンが現れる事、アバドン達は母であり女王である魔王蟲の存在を認識しているらしき事から、魔王蟲もまた美しい女性の姿で蘇り、今も地底の底深くでひたすらに繁殖を続けているのだと囁かれている。

 古の時代では、アバドンの群れが通過した土地は不毛の荒野に変わるとされ、多くの肥沃な大地がアバドンに喰らい尽くされたという。
魔界化や精霊の活性化などの影響で後に回復した土地も少なくはないものの、現在でも残る荒野の多くはかつてアバドンに喰らい尽くされたと伝えられている。
 この様に、古の時代ではアバドンの群れは肥沃な大地を狙って襲っていたのだが、現在のアバドンの群れは不思議なことに、かつて喰らい尽くされたとされる荒れた土地を好んで襲う。
 アバドンの群れが襲撃した土地の男性は全て喰らい尽くされ彼女達の夫となるわけだが、アバドンクイーンはアバドンの夫となった者達はもちろん、現地の住人や魔物達も含めて自らの支配下に下ったと認識しているらしく、襲撃後のアバドン達にはその巨大なコミュニティの維持と拡大の役割が与えられている。
その際にはアバドン属の持つ末端の兵蟲まで意思統一を可能とするフェロモンによる指揮系統と、食料の少ない荒れた土地であっても夫を喰らってさえいれば活動が可能である点が遺憾なく発揮され、キャンプが喰らい尽くされた跡には村が、村が喰らい尽くされた跡には街が、街が喰らい尽くされた跡には国が……といった具合により巨大なコミュニティができあがることとなる。

 なお、魔王蟲の時代はアバドン以外にも虫の魔物が勢力を誇っており、魔界にはまた別の「王」を名乗る強大な虫の魔物も現れていたという。

 
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アバドン被害報告-投稿小説


 


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